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男は即物的なもんだけど、やっぱ雰囲気って大事。
エロい雰囲気になればなるほど感度も興奮度も全然違ってくる。
そういう意味じゃ紘人は、そういう空気を作るのが上手いと思う。
時々大胆で、ちょっと恥ずかしがるあたりが俺の男心をくすぐる。
ウェットティッシュで手を拭いている紘人に甘えるようにぴったりとくっ付いた。
「……ねー紘人」
「ん?」
「挿れたい……」
そう小声で言うと、密着してる紘人の体が緊張した。
ぎゅっと細い体を抱きしめて肩口に顔を埋める。
すごく戸惑ってるのが伝わってきて苦笑が漏れた。
「……あの、透……」
「ごめん言ってみただけー。びっくりした?」
付き合うって決めた当初から「紘人のこと抱きたい」って言ってあったから俺の気持ちは知ってるだろうけど、でもなかなか首を縦に振れるようなことじゃないよな。
その気になってくれるまで気長に待つしかないなーと思ってたら、もぞもぞと動いて俺の腕の中から抜けた紘人が軽く口付けてきた。
「先輩?」
驚きすぎてつい先輩呼びになると、紘人が俯きながらボソボソと口を開いた。
「その……いや、しても、いい……」
「ふぇっ!?」
予想外の言葉に思わず変な声を上げる。でも紘人は慌てて手を振った。
「あ、あ、あの、今日って意味じゃなくて、あの、今度……!」
「え、マジ?マジでいーの?俺本気にするよ!?」
ソッコーで食いつくと紘人は真っ赤になりながらもこくこくと頷いた。
ヤッバイ嬉しい!超ニヤける!
「えっといつする!?あ、ゴムとか一緒に買いに行く?好きなの選ぼ!」
「ちょ、あの……」
「ジェルとかも必要だよね?あ、てかお泊まり!当然お泊まりだよね!どーしよせっかくだからクリスマスに初エッチとか記念日っぽくていんじゃね!?あ、でもそれじゃまだ一ヶ月以上先じゃん!ねーどうしよっか!?」
「透……」
呆れたような紘人の声は、初エッチの妄想でいっぱいの俺の耳に届かなかった。
end.
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