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「ほんっと、紘人先輩かわいすぎ!」
「も、もういいか?こういうことを人に話すのは初めてで、かなり恥ずかしいんだ……」
「えー?初々しいエピソードいっぱいありそうでもっと聞きたくなったけど」
「残念ながら他は何もない。きみとのことばかりになってしまう」
「それもいーね」

透が声を弾ませながら、泡を掻き分けて僕との距離を縮めた。湯が波立って泡が隅に逃げていく。

「俺、紘人のことマジで好き。変に疑っちゃってごめんね」
「疑われたなんて思ってない」

僕の恋愛経験なんてたかが知れているのに、透がどうしてそこまで気を揉むのだろう。
彼がそうならないように努めたい。だからせめて、慕わしい気持ちを込めて彼の瞳を覗き込んだ。
すると透の顔が近づいたので、僕からも体を寄せて口づけた。

とろみのある湯の中で、透の手が僕の肌を滑っていく。僕も彼の肩を泡と一緒に撫でた。
泡のついた手で首筋を撫でられる。その手に抱き寄せられ、濡れた唇がさらに深く重なると、全身が蕩けていくように思えた。

「んん……」

泡だらけの体を互いに絡ませる。
着衣とも素肌とも違う感触が僕たちをやんわりと覆っている。それがとても淫らに思えて、体の奥の熱が昂ってきた。
かすかに、しゅわしゅわと泡のはじける音がする。
キスをしながら僕たちは体を撫で合った。
優しい手つきだったものが、やがて忙しなくもどかしげな仕草に変わっていく。透の指が、泡ごと僕の乳首を押し上げた。

「あ……っ」
「この泡風呂、ちょっと遊ぶだけのつもりだったんだけど」

予定変更、と透が好色な笑みを浮かべる。それを聞いて僕も期待を込めて透を見つめた。きっといま僕は、とんでもなく物欲しそうな顔をしているだろう。
刺激に弱い僕は、この先のことをしたくてたまらなくなっていた。だから自分から透の唇を食み、舌先でなぞった。
したいことは透も同じらしく、すぐに舌を絡めてきた。
泡まみれの手で愛撫をしながら舌を絡ませあっていると息が上がってきた。甘い香りが肺に満たされる。興奮で体温が上がってくらくらとした。

「紘人……好き」
「んっ」

透の手が僕の下腹部まで移動した。掌で包まれた僕のそこは、すでに形を変えている。
湯の中できゅっと握られたので、僕も透の足の付け根あたりを探った。彼のそこも硬く反り返っている。

「あっ……ん、ん」
「紘人、もーちょっと強く握って」

言われるがまま、くびれの部分に指をかけて力をこめる。一方で透の優しい刺激がじれったくて、僕は腰を揺らした。
キスをしながら扱き合いを続ける。とろみのある湯の中では動きが緩慢で、焦らされているように感じた。けれどマッサージに似て気持ちがいい。
そうしてちゃぷちゃぷと動いていたら、だんだん泡が消えてきた。隠されていた僕たちの痴態があらわになっていく。

「はぁ……あ、透、ここだと……」
「うん。もう出よっか」

軽い口調で言った透だったが、息が上がっていてあまり余裕のなさそうな表情だった。
僕も、熱くて眩暈がする。
水面を隙間なく覆っていた泡は、気がつけばもうほとんどなくなっていた。

タオルで水気を拭いてベッドルームへと急いだ。
明かりをつけ、水を吸って重くなったタオルを床に放り投げる。それから僕たちは倒れ込むようにしてマットレスに沈んだ。
ひんやりとした乾いたシーツは、限界まで火照った体にちょうど良かった。

「ね、ゴムとかある?」
「ああ。そこに……」

ベッドサイドの棚に忍ばせてあるそれらを指すと、透はにっこり笑って取り出した。そうして手元に置いたあと、彼は僕の上にのしかかってキスをした。
僕も透の背に腕を回し、胸が触れるくらいに抱き寄せる。すると、偶然にも互いの乳首の先端が触れ合った。

「んっ……ふ」

湯も泡も隔てない素肌の感触は、もっとずっと心地良かった。
熱い肌はしっとり湿っていて、息苦しいくらいの重みすら愛おしい。触れた胸の向こうから鼓動が伝わってくる。
しかし透は体を浮かせて離れていってしまった。僕の首筋にキスをして、そのまま僕の肌を蹂躙していく。
息荒くキスをする合間に、ときおり歯を立てられる。緩やかなだけではない、刺激をもった愛撫に興奮がいっそう高まった。

「と、透、あっ……あっ」
「ほんと……ん、紘人ってきれーだよね」
「な、なにをそんな、突然」
「んー?思ったこと正直に言っただけ」

急にそんなことを言われたから、何も身につけていない裸体が恥ずかしく思えてきた。
体をよじろうとしたらシーツに押さえつけられ、乳首にぬるりと舌が這った。
チュッと吸われては舐めまわされる。執拗にそうされると、気持ち良さに背筋がゾクゾクとした。
性感を煽る彼の巧みな愛撫に、僕はただ身悶えるばかりだ。

「あ、あぁ、んぅっ」
「ひーろと、腰動いちゃってるよ」

透に言われてはじめて気づいたのだが、僕はいつの間にか足を開いて腰を浮かせていた。
回数を重ねるごとに快楽を体が覚えてしまって、次にしてほしいことを無意識にやってしまう。この欲望にはどうしても抗えない。
時にはわざととぼけることもある透だが、今日は焦らすことなく指を尻の谷間に滑らせた。彼も遊ぶ余裕がないらしい。
ローションを纏わせた指先が窄まりを揉む。そこはいとも簡単に彼の指を受け入れた。

「風呂で温まったおかげかな?柔らかいね、ここ」

のぼせた体は、自分でもわかるくらいに蕩けている。ローションが熱で溶けて、穴の中も外もぐっしょりと濡れた。


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