28


膝枕のまま紘人の腹に鼻先を押し付けて抱きついた。

「とっ……透?」
「なーにー?」
「は、離してくれないか……」
「やだよん」

紘人が焦る気持ちが手に取るようにわかる。だって俺の頬に股間がばっちり当たってるから。
頭を動かしてぐりぐりとそこを刺激してたら、それ以上動かさないよう紘人の手に力が入った。なかなかの握力で掴まれて動きを阻まれる。

「ちょっとー、手ぇどかして」
「い、いやだ」
「いいじゃん。紘人は映画観てていいからさ」

紘人が困ったように唸った。手の力が弱くなったってことは、本気でイヤじゃないらしい。
股間に顔をうずめて服の上からチンコを咥えた。咥えるっていっても揉むようにしてもぐもぐ口を動かすだけ。布越しのフェラみたいな。
もぞもぞと腿を擦り合わせる紘人。それでも映画を観ようとテレビに顔を向けたり、小さく声を上げながら俺の髪を掴んだりと忙しい。あー可愛い。
上着をめくってヘソにチュッとキスをすると、紘人が驚きながら少し腰を上げた。

「透!」
「んー……?」
「しゅ、集中できないだろ」
「しなくていんじゃね?結末ならあとで教えたげるからさ」

お腹に唇を当てながらそう囁くと、またビクッと紘人の腰が跳ねた。

「紘人は俺といるとき、やらしー気分になるんでしょ?」
「う……ん」
「俺もだよ。彼氏とラブラブしてたらムラムラすんの当然じゃん」

はっきりとした了承を得ないままに、起き上がって唇を重ねた。柔らかい唇を啄ばみながら体重をかけると、紘人の体は簡単にソファーに沈み込んだ。
首にもキスをしたら、紘人はくすぐったそうに肩を竦めた。まだ気分が乗り切れてないのか愛撫から逃げ気味だ。
左耳に舌先を這わせると紘人がイヤイヤと首を振った。くすぐったいのか感じるのか、左を向いて耳を隠しちゃった。
逆側が無防備に晒されたから今度は右耳を甘噛みした。また紘人が右側を隠すように横を向く。
何度かその攻防を繰り返したけど、可愛い抵抗をする紘人にムラムラが本格的に抑えきれなくなった。
紘人はついに体を捻って、うつぶせになって逃げた。

「ひーろーとーさーん?こっち向いて、チューしよ」

そう言ってみても、紘人は首を振って俺に顔を見せなかった。
ん?あれ、もしかして機嫌損ねちゃった?

「どーしたの?怒った?」
「そ、そうじゃない」

ソファーに置かれたクッションに顔を押し付けた紘人の、くぐもった声が返ってくる。

「あの、きみに申し訳ないと思って……」
「へ?」
「僕はその、し、してもらうばかりだったから良かったけれど、きみは疲れてるだろ……体動かしたり、色々と」

えっと?つまり俺が張り切って愛撫やらガン突きやらをしたから、俺のほうが疲れてると思ってる?

「仮にも運動部だし、あれくらい平気ですけど?」
「部活とセックスは違うだろ」
「そりゃ違うけど。なに、エッチすんのイヤ?心配しなくても挿れるつもりないって」

それを言ったら紘人のほうが心配でならない。そう思ってたら、紘人がまた俺の理性を試すようなことをぽつりとつぶやいた。

「僕は、それじゃ物足りなくなってるから、困る……」
「……紘人さん、その言い方だと俺に挿れてほしいって聞こえますが」
「ま、間違ってない……」

セックスしたいって言ってんの?マジで?それってつまり、初エッチが相当良かったってことだよね。

「じゃ、何も問題ないね」
「あの……でも」
「はいはーい、もう黙って俺の好きにさせて」

うしろから紘人の口を手で塞いでうなじに唇を滑らせた。
空いた手を上着の中に入れて素肌を直に撫でる。紘人の部屋着らしいロンTをめくって、背中にちゅっ、ちゅっ、とわざとらしい音を立ててキスを落とした。

「ん……っふ、んぅ」

やっぱり紘人は背中が敏感みたい。キスするたびにビクビク反応して、白い肌はすぐにほんのりと赤くなった。
テレビからはくだらないブラックジョークとやかましいドタバタ劇が聞こえてくる。そんなチープな音を耳にしながら、紘人の口を塞いだまま背筋に舌を這わせた。

「んんっ!」
「こういうのどう?好き?」
「んっ……うっ」

何か言いたそうにしてるけど、俺が口塞いでるせいで全然分からない。
さっきは理性ぶっ飛んじゃったせいで酷くしちゃったから、今度は気持ちいいことだけしてあげたい。そのためには、たとえ恥じらいでも抵抗の言葉なんて邪魔なだけ。
背中への愛撫を続けながら下半身に手を伸ばす。
俺の唾液で布がちょっと湿ってる股間を優しく揉んだ。中心が硬くなってきたところでパンツの中に指を忍び込ませる。

「んっ、ん、ふ!」
「もう勃っちゃったね」

きゅっきゅっと竿を握る。コスるたびにビクビク腰が上がるから気持ちいいらしい。
俺も紘人の太腿に自分のモノを擦りつけた。そのとき掌を軽く噛まれて、紘人がこもった声で俺の名前を呼んだ。

「……ゴム持ってくるからそのまま動かないで待ってて」
「ん、と……透……」

紘人を一時開放して、寝室に置きっぱなしのゴムとローションを取りに行った。


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