22


「と、透……」
「ねえ先輩。これ、俺が載ってるからなの?」

ごまかすなよ。ちゃんと教えて。先輩が、俺をどんな風に見てるのか――。
先輩を逃がさないようがっちり固定して正面から見据えた。青い瞳がせわしなくぱちぱちと瞬く。だけど視線は逸らされなかった。
少しの間だけ見つめ合った末に、先輩は観念したように息を吐いた。

「そ、そうだ……。きみの写真が、すごく格好良かったから……ほ、欲しくなって本屋で買ってきて……」
「それで家で見てたの?これ」

先輩が頷く。
天羽は、発売日過ぎたら売り切れててなかなか手に入れられなかったって言ってた。てことは先輩はそうなる前に買ってきたってこと?
せっかく雑誌に載ったのに彼氏に気にされてないって俺がぐずぐず拗ねてる間に、先輩はこうして行動してたんだ。
一気に脱力して先輩ごと床に寝転がった。倒れたのがちょうどラグの外で、フローリングにごつんと後頭部を打ち付けるはめになった。だけどその痛みで、あぁこれ夢じゃないんだなって実感した。

「ほんと先輩、なんなの……」
「す、すまない。こういうことをされたら鬱陶しいだろうと思って、黙ってたんだが……」
「そうじゃないって。逆、逆。先輩が可愛いことするから、嬉しくて死にそう。全然、こういうのに興味なさそうだったから不意打ちっつーか……」

鬱陶しいわけないじゃん。むしろ俺はそういうのを望んでたんだからさ。

「す……好きな人の写真がほしいと思うのは当然だろう」

ストレートな言葉に喉奥がぐっと詰まる。ちょっと天然で感覚がズレ気味の先輩だけど、一般論を出されて胸が締め付けられた。
そうだよな、俺も同じだよ。いつでも手元に置いておきたい、好きな人の写真がほしいって気持ち。文化祭で撮った先輩とのツーショットは俺の宝物だよ。

「……ねえ、もう一回言って」
「え?な、何を?」
「好きな人って。――先輩、俺のこと……好き?」

声を潜めたら先輩の顔が近づいてきた。
そうして、唇を突き出せばキスができるくらいの距離になったとき「すきだ」と先輩が静かに言った。優しい響きの言葉は、俺のささくれ立った心にじんわり沁みこんできた。

「もいっかい、言って」
「好きだ……透」
「何回でも言って。言ってほしいよ。そうじゃないと、俺――」

――俺、泣いちゃいそうだよ……。

間近にある先輩の唇を、下から塞いだ。上唇を食んでその弾力を味わう。
さっきみたいな安らぐキスはしない。欲を煽るためのキスをしながら俺の上に跨っている先輩のシャツの中に両手を入れた。
なめらかな背中と、浮き出た背骨を掌で撫で上げる。かすかな喘ぎとともに先輩の体がぴくっと揺れた。この人、背中が感じるらしいんだよね。

「言って」
「す、好き……すごく、好きだ……きみの、ことが……」
「俺も、大好きだよ」

好きって言葉は偉大だ。ここのところの胸のつかえがあっという間に取れた。そして顔がデレデレに緩む。
先輩の乳首を左右同時に刺激する。あんまり強くしつこく擦ると痛くなるだろうから、優しく、丁寧に。
激しくしなくていい。俺に何度もいじられたことのある先輩のそこは、そうやってちょっと触っただけですぐに反応を見せるから。

「ぁ……っ」
「先輩、敏感だね」

可愛い声が聞こえて思わず笑った。感じてるんだと分かったから、それをゴーサインだと受け取って愛撫を続ける。
ちょっと待って、という先輩の声は聞こえないフリをした。俺はもうこれ以上待たないよ。
乳輪部分をそっと撫でて、爪で軽く突起を弾く。硬くなった乳首を指で押し潰して円を描くように捏ねる。そうしたら、先輩の甘い声がだんだん大きくなってきた。

「んっ……待ってって言ってる、だろ」
「やぁだ」
「あっ、ちょっ……」

先輩のシャツを捲り上げて、もぞもぞと胸の下に移動した。アンダーを着てないシャツ一枚の先輩はなんとも無防備。
元の形に戻ろうとするシャツを鼻先で押し上げながら乳首を咥えた。はむはむと唇で挟んで揉んで、舌先で弾く。

「ん、んぅ、ぁ……」

えっろい声。
回数を重ねるごとに先輩の反応が良くなっていくから嬉しい。俺とのエッチに馴染んでくれてると思うと達成感みたいなものが満たされる。

「……ねー先輩。月曜って体育なかったよね?」
「え?あ、ああ……」
「じゃ、キスマつけちゃお」

あんまり顔を動かせないから乳首のすぐそばあたりを吸い上げた。夢中でいくつもキスマをつける。
先輩の腕の中に囲われてるからだんだん熱く息苦しくなってきて、吸う力が弱くなった。うーん、見るからに痕が薄い。



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