僕と彼の青い春

彼の手がまた僕のペニスを握った。まだローションで濡れてるそこは、少し擦られただけで膨れ上がった。
男が一番感じる陰茎と性交に使わないはずの穴との両方の刺激で、僕はおかしくなってしまいそうだった。
アナルを穿たれているうちにだんだん慣れてきた気がして、そうすると何か、痛みのほかに奇妙な感覚があった。それから逃げるように体を捩る。

「ん……どうしたの？」
「な、なんか、変な感じがして……っく、うっ……」
「えっ、大丈夫？」
「い、いい……続けて、そのまま、んっ……」

中を抉られ、擦られているうちにその感覚は大きくなった。
初めて体験するそれにおたおたと戸惑っていたら、透のペニスがちょうどよく違和感の場所を突いた。

「あっ！」
「んん……？」
「あっあっ、あっ透、や……っ！」

手が震えて口を塞いでいられなくなり、はしたなく喘ぎ声を上げた。
透が訝しみながら僕の頬を撫でてくる。

「……紘人なに、ほんと、え？なんか前立腺とか、そーゆーの？」
「そ、なのか……し、知らなっ……あっ！ぁんっ！」
「うっわ、超エロ……」

興奮したみたいな透の声がしたと思った瞬間、グッと奥まで男根が押し込まれた。そのまま律動が激しくなる。それにつれてついに声が抑えられなくなった。
腹の奥が熱い。頭の中が痺れてしまい、透に全てを委ねることしかできない。
抜き差ししながら透は僕を抱き込み、キスで唇を塞いだ。
透に覆われ、呼吸を奪われ、奥まで穿たれて、僕の全部が彼でいっぱいになる。その圧迫感が少し苦しい。でも、好きという感情が今までで一番というくらい昂った。
僕も透の背に腕を回して縋るように抱きつけば、より溶け合える気がした。

「も、可愛い……紘人、すげー可愛い、好き」
「あっ、あぁっ、んっ、くっ、ぅ」
「なか熱い、とけちゃいそう……」

距離が近いどころじゃない、それ以上のものだ。
この一体感をうまく言葉に出来ない。それでも僕は透に、何か伝えたくてたまらなくなった。

「ぼ、僕も、んっ、すき……透……」
「紘人……」
「きみと抱き合えて、嬉しい――」

僕を抱き込む腕に力が入る。そして次の瞬間、透が「うっ」と低く唸った。
中を穿つ動きがゆっくりになったと思ったら透は荒く息を吐いたまま起き上がった。アナルから熱が抜け出してゆく。
彼はペニスに被せたコンドームを素早く抜き去ると、箱から新しいものを取り出して包装を破った。そうして再びそこに被せて僕の両足を抱え上げた。

「と、透……？」

僕の声が届いているのかいないのか、透はもう一度挿入をしはじめた。
太いペニスが抜け出して間もない僕の穴は、ぬるりと彼を容易に受け入れる。

「ひっ……あ、あぁっ」
「……軽くイっちゃった。でも、まだ足んない……」
「あっ、透……ッ」

射精したと言うが透のものは未だ硬さを保っている。ペニスはぐちゅぐちゅと掻き回すようにして僕の中を蹂躙した。
擦られて敏感になっているアナルの中を再び刺激されて、僕は急に怖くなった。覆いかぶさってくる透の胸を力の入らない手で押し返す。

「あ、やっ、僕もう、無理、だ……！」
「もーちょっと、だから、ごめん」
「だ、駄目、あっ、んんっ」

透が胸に置いた僕の手を、指を絡ませて握る。そのままその手はベッドに縫い留められた。そうされては逃げ場がなくなってしまう。
力強く揺さぶられ続けているとだんだん意識が遠のいていく気がした。興奮しすぎたせいか痛みはとうに薄らいでいる。
透のことしか感じられない。僕と透の境界が曖昧になる錯覚に陥った。それは深く、深く――。

「あッ、とっ、透……っ！」

彼の手で再度ペニスを上下に擦られてすぐに、僕は絶頂に達した。中の透をぎゅうぎゅうと締めつけながら精液を放つ。放出の快感よりなにより、幸福感が強かった。

「紘人……俺も、またイっていい？」
「んっ、うん、うん、あっ、あぁっ！」

透の言葉に必死で頷く。僕の射精の間も中を行き来していた透は、ずっ、ずっ、と奥まで抉るようにしたあと体を震わせた。
透が僕の中で二度目の絶頂を迎えたのだと知って、僕の感情は振り切れ、目尻に溜まっていた涙が零れ落ちた。

prev / next

←main