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紘人と二人きりになると、密着してる体をぽんぽんと叩いた。
「紘人、紘人?ほら、天羽君もういないよ?」
また首を振る紘人に俺はいよいよ困ってしまった。
「このままじゃキスもできないんだけど?」
そう言うとようやく少し離れた。すかさず紘人の顎を持ち上げて唇を塞ぐ。
しばらく紘人のしっとりとした柔らかい唇を堪能して解放する。彼もそうされてやっと落ち着いたらしく、甘い吐息を漏らした。
「なんかさー、まさかあんた、天羽君と顔見知りなの?」
「ち、違う。……今日初めて会った」
「じゃあ何でさっき空気おかしかったの?心当たりがなくてスゲー謎なんだけど……」
紘人が泣きそうになる。だからどうしてあんたがそんな風になるの。
俺は紘人をソファーに座らせて肩を抱いた。
「ね、ちゃんと言って。言わなきゃわかんないでしょ?」
「……昨夜寝惚けてたから、今朝になって、で、電話を……したんだが」
「電話?いつ?」
驚いてスマホを見ると、確かに紘人からの着信履歴があった。時間は俺がコンビニから帰ってきてシャワー浴びてた頃くらい?しかも不在じゃなくて応答してる。
「あー……もしかしてその電話に天羽君が出た、とか?」
「そうだ。それで、その……透が今シャワー浴びてるとか、昨夜は優しかったとか、丁寧にしてくれたとかなんとか、色々と……」
えええ、なにしてんの天羽君!
嘘は言ってないけど誤解されるような言い方やめて!
「そ、それで慌ててここに来たの?寝起きのまんまで、車飛ばして?」
「そう、だ……」
紘人がばつが悪そうな顔でもじもじしてる。
あらら可愛いじゃないですか。
紘人の意外な行動にニヤニヤ笑いが止まらなくなってしまう。
「一応言っとくけどね、たしかに気があるみたいなことは言われたけど、恋人いるからってきっぱり断っといたんだよ?そんで何もないから。フツーに別々に寝たし」
「う……ああ、うん……でも、すごく、綺麗な少年だったからびっくりして……その、まさか透がその気になって、とか疑ってすまない……」
「ないない。勃つのは紘人だけだよ?なんなら試してみる?」
笑いながら下品なことを言うと、紘人は照れながら頷いてきた。……マジか。
もちろん据え膳を逃すわけない俺は、朝っぱらから爛れた行為に耽ることにした。
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