3
透、透、透――。
もっと触れてくれ。僕を、きみの好きにしてくれ。何をされてもいいから、今だけ、僕を見てほしい。僕だけを。
不意に透の手が下腹部に触れた。下着の上からなぞるように僕の性器を軽く握る。そこは浅ましく勃起していて透の愛撫を求めていた。
「透……や……」
「んー恥ずかしい?」
こんな風にはっきりと感じていると透に知られて顔が熱くなった。目に見える欲望の証に僕の羞恥心が燃え上がる。
どうしよう。こんなに反応していて透のことが好きだと伝わってしまったかもしれない。言ってもいいんだろうか。でも言葉にしたら醒めるだろうか。行為をやめてしまうだろうか。
迷っているうちに透が僕の下着ごとズボンを脱がしてしまった。外気に鳥肌が立つ。
まじまじとそこを見られて途端に不安になった。男の証明を目の当たりにして、透は萎えてしまったんじゃないかと。
けれど彼は何も言わず、躊躇いなく僕のペニスを握ってきた。
直接的な刺激にゾクゾクと快感が走った。透の手が巧みな動きで勃起を扱いている。それはたまらなく気持ちが良くて、女のように高く喘いだ。
次第に手の動きは早くなり的確に感じる場所を刺激してくる。男同士、いい所は知りつくしているからあっという間に追い上げられた。
「あっ、あっ!透っ……!」
僕は好きな男の名を呼んだ。そうするとたちまち絶頂が僕を襲う。
透の手の中に思い切り精を吐き出すと少し頭が冷静になった。
ずっと危うかった友情の一線を越えてしまったのだと悟って、全身に冷たいものが走る。
透の雄の顔を知ってしまったら、何もなかった頃にはもう戻れない。でもまだやめられる。
なのに透の指が僕の尻の奥に触れて体が跳ねた。ぬるぬるとアナルに僕自身が吐き出した精液を塗り込められて、恥ずかしくてたまらなかった。
「透……いやだ、そこは……っ」
「紘人、大丈夫……」
大丈夫、と優しく色っぽい声で言う透。
再び唇を塞がれたら、僕はそれだけで絆されてしまった。その隙を突いて固い指先が僕の中に入ってくる。
「うぁっ……!」
信じられないことに、指一本、するりと入り込んできた。異物感が僕を襲う。
「う……んっ……うぅ……」
ぐいぐいと中を確かめるように抜き差しされる。指一本でいっぱいいっぱいなのに、これ以上は無理だ。
なのに透は二本目を挿入しようとしていた。そんなところに、透の男らしい長く綺麗な指が出入りしているなんてものすごい罪悪感だ。
「……あっ!!」
いつ終わるとも知れない蹂躙の中、劇的な変化があり僕は思わず腰を跳ね上げさせた。
その正体がわからずに透を見つめると、彼はにやりと笑っていた。
「ここ、押されるとイイ?」
そう聞かれてもいいのか悪いのかわからない。僕は首を振った。
それなのに透は中をいじる動きをやめてはくれなかった。むしろ嬉々として責める。
僕は腰をがくがくと震わせながら大声で喘いだ。透が酷薄な笑みを浮かべる。
やめてほしいのに、そこを弄られていたら身動きがとれない。強制的に追い上げられていく感覚。どうしようもない絶望感に、僕は啼いた。泣いた。
情けなくしゃくりあげると、透が指を引き抜いた。
「ごめん、痛かった?」
「ち、違……」
そうじゃない。怖かった。強すぎる快感はいっそ凶器だ。まだブルブルと足が震えている。
でももう終わらせてくれるんだと安心した。けれど透はそんな気はなかったようだ。
熱い塊が僕の窄まりに宛がわれる。それは、透の――。
「紘人……」
透が僕の名を呼ぶ。聞いたことがないようないやらしい声で。
知らなかった、こんな顔。いつも笑顔で、時々ドキリとするような眼差しで僕を魅了していたのに、今は怖いほど色気に溢れてる。
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