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「紘人?」
「ん?」

ソファーの隣に座ってる肩を抱き寄せて唇を近づける。
不意打ちだったようで驚いたような表情が目に入る。構わずに俺は紘人の唇を塞いだ。

「んっ……」

ついばむように優しくキスをしながら紘人が広げている雑誌を取り上げた。
ちゅ、ちゅ、とわざと音を立てて口付けると、紘人も俺の肩に腕を回してきた。
しばらくそうして何度もキスをしてから少し顔を離す。
紘人の、赤く濡れた程よい厚みのある下唇が色っぽい。

「……きみが」
「うん?」
「きみが、雑誌の中で何ページか一人で載っていたときがあっただろう」
「あー……あれかな? 半年に一回読モを特集するやつ?」
「いや、わからないが……たぶんそれだと思う」
「あったねぇ、そんなの。それ見たの?結構レアじゃない?」

紘人が目元をピンク色に染める。そういやそんなのあったっけ。いつもとちょっと趣向が違ったから楽しかったな。
特集っていっても、女性誌みたいに読者人気みたいなのは別にないから、適当に持ち回りでやるんだけど。
マイナー誌だからそういう自由な企画があって面白いと思う。マイナーつっても結構売れてるみたいだけどね。大手ほどじゃないけどコア人気っつーか。
そういう冒険するとこっつか、ゆるいとこが好きなんだよね、あの雑誌。

「俺また同じのやるよ」
「ほ、本当か?」
「うん。だからちょっと撮影長引く日があるかもしれないけど」
「そうか」

紘人の瞳がきらきらと輝く。なにこの人、超俺のファンじゃん。
俺はさっきのジェラシーを忘れてすぐにご機嫌になった。
もう一回キスをすると、紘人も微笑みながら俺の体に細い腕を巻きつけてきた。

もっともっと、生身の俺に夢中になって、紘人――。



end.


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