18


目が覚めると昼だった。
ぼんやりと周囲を見回すと、紘人が傍らで眠っているのが目に入った。

「……あ、講義」

遅刻どころの話じゃない。完全にサボりだ。
まあいいか……もう今日は休み。そうしよ。そう思って再び紘人にくっついて上掛けにもぐる。
すると目の前の長い睫毛が震えて、瞼が開いた。

「おはよ?」
「……ん……」

紘人は数回ぱちぱちと瞬きして顔をしかめると俺から背を向けてまた眠ってしまった。
あ、あれ?そこはほら、「おはよう」って言ってキスするところじゃないんですか!?
まあ昨日は大変だったしねぇ。寝かせてあげるか。

それで目が覚めた俺は、紘人を起こさないようにベッドを慎重に抜け出した。
あ、寝顔はばっちり撮っておきました。貴重な彼シャツ姿の恋人の寝顔ゲット。
こうして見ても超美人。睫毛長いなぁ。鼻高いなぁ。髪の毛が寝癖でくしゃくしゃなのが、またイイ。恋人の無防備な姿って感じ。

しばらく寝顔を堪能して、にやにやしながら朝のシャワーを浴びた。
ラインやメールがガンガン入ってたから「今日寝坊してサボり」の一言を一斉送信して終わらせたあと、昼飯を用意した。
食材はほとんどないから余った野菜を全部使ったインスタントラーメンで。うーん男の料理。
フライパンでジュージュー野菜炒めを作ってたら、紘人がようやく起き出してきた。

「紘人おはよ。腹減ってない?」
「……減ってる」

そう言いながら俺の側に寄ってきて背後から抱きついてくる紘人。
すりすりと頬を摺り寄せるからくすぐったさに笑い声が出た。

「もーすぐ出来るよ。っつか、ただのラーメンだけど」
「うん……」

なんか紘人が素直。ちょーラブラブの恋人っぽくて嬉しい。
結局料理してる間、紘人は俺にくっついていた。
動きにくかったけどインスタントラーメン作るくらい別にあっちこっち移動しないしね。
あつあつのラーメンを食べてたら紘人も目が覚めたのか、いつもの調子に戻ってしまった。寝起きの甘えてる紘人も可愛かったけど。

「あ、そういえばさ、雑誌持ってく?ほら、この前ドライブん時に言ってたやつ」
「ああ……そういえば、そんなこと言ってたな」

口調はそっけないけど、紘人は居心地悪そうに体を揺すった。

「本棚入りきらないから紐で縛っちゃってるんだけど……欲しいやつどれでも持ってって。あ、でも紘人ここまで電車?」
「いや、近くのパーキングに車を止めてある」
「そっか、じゃあちょうどいいね」
「……透は?」

少し不安げな声が遠慮がちに聞いてきたから、俺は箸を置いてにっこりと笑った。

「うん、俺も一緒に連れてって?」

そう言うと、紘人はホッとしたように表情を緩めた。
そうしてまた俺たちのハッピーな半同棲の日々が戻る。



END.


(次ページにおまけ)


prev / next

←back


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -