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ぐりぐりと強弱をつけて内部を刺激されながらの愛撫に、エリオットは切れ切れに声を上げた。射精したばかりのペニスは早くも頭をもたげている。
その痴態を堪能したジンイェンのものも、再び反り返っていた。

「ね……もう挿れてい?」
「あっ、ァ、も……っ、いいから、し、して……」

懇願の言葉を聞くや否やジンイェンは指を引き抜き、エリオットの右足を抱え上げた。
血管の浮いたペニスを数回擦り上げてから、精液に濡れたアナルに先端を潜り込ませる。窄まりの生硬さは未だあるものの、そこはジンイェンを受け入れようと淫らにひくつき誘っていた。

「あ……あ……」
「久しぶりだし、痛くない?」
「痛みは、それほど……んっ……」

丹念に解されたおかげもあって驚くほどスムーズに中に納まった。繋がり合う悦びに全身の熱が更に上がる。
するとジンイェンは抱え上げたエリオットの足をいやらしい手つきで撫で上げた。指の腹で腿にある傷痕をひっかけながら。

「やっ……!」
「う、わ、今すっげー締まったけど……なに?感じるの?ココ」
「いや、くっ、くすぐったくて、ひっ、ぁ」

また傷を指でなぞられ、エリオットは身体を捩って逃げを打つようにシーツに縋りついた。

「……くすぐったいって反応じゃなさそうだけど?」
「き、きみが変なことをするからだろ」
「えー?俺、別に変なことしてないの……にっ」
「あっ!」

グッと奥まで一気に突き上げられ、エリオットはより一層ジンイェンのものを締め上げた。
内壁がうごめき引き絞るような締め付けに、その心地よさでジンイェンのペニスの嵩が増した。横を向いてしまったエリオットの耳を甘噛みしながら喉の奥で笑う。

「はは、一回出しといてよかったかも。アンタの中、めちゃくちゃ気持ちいー……」
「あ、あ……僕、あ、熱くて、おかしくなりそう、だ……」
「うん、俺、も……っ」

言いながら、ぐ、ぐ、と抜き差しが始まり、エリオットは喘いだ。
足が肩に抱え上げられているせいか奥は深くまで到達し、浅くは先が抜け出すギリギリまでと幅が長い。そうされると余計にジンイェンの存在を感じられて快感は増した。

「あっあっ、だめ、んっ、それ、駄目だ、ジン……ッ」
「んん?どう、ダメなの?」
「す、すごい、から、あッ、や……っ」
「へぇそう、すごくイイの?」
「……ッ!!」

ジンイェンはペニスを更に突き入れた。声にならない喘ぎがエリオットの口から漏れる。そうなってしまえばもう、恥も外聞もなく身悶えるばかりだ。
ただ互いのことだけしか見えず、原始的な快楽を追い求める。

「あっ!あっ!や、あぁっ!それ、強すぎて……あっだめ、んんッ……!」
「……エリ、オット、こっち向いて」
「んっ……?」

いつまでもシーツに縋りついている恋人をジンイェンが呼ぶと、潤んで色の濃くなった淡緑の瞳がそろりと上を向いた。
ジンイェンの手が汗で乱れた前髪を払い、艶めいた唇を啄ばむ。エリオットもそのキスに応えた。何度しても、恋人との口付けは甘美で飽きが来ない。しかしそうしながらもアナルを穿つ動きは容赦がない。内部の感じる場所をわざと刺激しながら激しく出入りする。

「あっあっ、あ、いい、そこ……もっと、あぁっ!」

行為に夢中になりすぎたエリオットの口の端から唾液の筋が垂れる。
獣のような息遣いや衣擦れの音がひどく淫らで、やけに耳に響いた。
当初は余裕を見せていたジンイェンも、もはやその表情に笑みはない。

「ふァ、ああッ、ジン、ぁんっ!あっ!」
「あー……またイキそ……中で、出して、いい?」
「い……いい、あっ、いいから、僕も……っ!ッ……!」
「出すよ、いい?んっ……!」
「あっああァっ!」

ジンイェンがアナルの中で吐精して間もなく、エリオットは掠れ声を上げながらビクビクと全身を震わせた。その痙攣は長く、中のペニスを何度も締め付ける。
見るからに絶頂を迎えている様子なのにエリオットのペニスからは射精がない。ジンイェンは訝しげにエリオットを覗き込んだ。

「……エリオット。エリオット?」

ジンイェンに頬を軽く叩かれ、エリオットは恍惚とした表情で焦点を合わせた。そしてハッと我に返る。

「あ、の……僕……」
「もしかして、イってた?」

エリオットは小さく頷く。
いつも感じていた絶頂とは質の違う、何か大きな熱のうねりに飲み込まれたような、言葉にし難い感覚だった。そしてそれはまだ全身を支配している。
射精を伴わないエクスタシー、エリオットが体験したのはそれだ。

「へー……聞いたことはあるけどほんとにあるんだ?そういうの」
「あ、あの……すまない……」
「えっ、何で謝るの?気持ちよかったんでしょ?」
「そ、そういう話じゃなくて」

エリオットはちらりと下腹部に視線をやった。
ジンイェンのペニスはまだ挿入されたままで、抜ける気配がない。精を吐き出して少し萎えてはいるが名残惜しいとばかりに腰が揺れている。

「だから、朝まで大丈夫って言ったでしょ」
「……ちょっと待て。まさか朝までする気か」
「とーぜん」

問題ある?と言わんばかりのジンイェンの表情にエリオットは首を振った。問題なら大ありだ。

「大丈夫だって。俺、そこまで絶倫じゃないし」
「…………」

にわかに信じがたい台詞だった。以前、二人の休日が重なった日にほぼ一日中行為に耽ってしまったこともある。
それでも恋人をこの部屋から帰したくないエリオットにしてみれば、好都合といえるかもしれなかった。


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