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軽く吸ったり舐めたりされると腹の奥がじんと疼き、エリオットは艶めいた溜め息を吐いた。愛撫をほどこすジンイェンの息も徐々に荒くなってゆく。
ローブが肩から落ち釦がはずされる。エリオットもそれに応えるようにジンイェンの衣服の結び目を解き、襟元をくつろげた。
まだ全てを脱ぎきらないうちにジンイェンはエリオットの股間に手をやった。下着の上からやわく揉むがそこはもう硬く盛り上がっていた。
今更恥じらうこともないが、それでも直に触られる前に反応しているはしたなさにエリオットの羞恥心が湧き上がる。
布越しになぞられてぞくぞくと背筋が粟立った。息を吹きかけながら低く笑うジンイェンの声が耳奥に響く。

「こんなんじゃキツそうだね。一回出そっか」
「あ……っ」
「タマがパンパンだよ。溜まってた?」

ジンイェンは、エリオットの陰嚢を指先で下から持ち上げた。直接的な物言いをされエリオットの頬が熱を持ち、みるみる赤くなってゆく。

「あ、あまりする気になれなくて……」
「じゃあ全然抜いてないの?」
「いや……全然というわけでも……んっ」

敏感な部分をキュッと握り込まれてエリオットは甘い声を上げた。
宮廷に来てから緊張し通しで息を抜けるような余裕もなく、そういった欲が湧き上がらなかった。けれど生理現象として溜まってしまうので、全く処理をしなかったわけでもない。

「んー?何考えながらしたの?」
「き、きみ、の手で、してもらったときのことを、思い出して……」
「……アンタってなんでそんな可愛いの」

一人のときでさえ心を占めていると吐露されて嬉しくないはずがない。ジンイェンはたまらずにエリオットの唇を口付けで塞いだ。

「んっ、ふ……そ、そう言うきみのほうはどうなんだ」
「俺?俺は朝から晩まで立ち回りの訓練だったし、ずっと兄貴と一緒だったからそんな暇なかったって」
「じゃあきみだって……溜まってるんじゃないか」
「そーだよ。だからアンタといるのにお預けされたら、本気で発狂するからね」

ふっ、とジンイェンから熱い吐息が漏れる。気持ちが同じだと分かると愛しさは止められず、エリオットも彼の股間へと手を置いてゆっくりとさすった。

「……っ……あーもうやっぱ無理!エリオット、ちょっと俺の膝の上に乗って」
「は?」
「いいから」

ベッドの上に向かい合わせで座り、エリオットは言われるがままにジンイェンの膝を跨いだ。

「もっと寄りかかっていーよ」
「あの……でも」

ジンイェンは自分の下衣を解くと、すでに痛いほど張り詰めているペニスを外に出した。続けてエリオットの下着の紐を緩めて同じようにする。
そうして上向いている二つのそれを、ジンイェンはぴたりと重ねた。

「ジ、ジン……」

こうして同時に扱くのは初めてではない。けれど男の象徴を重ね合わせることは見た目にもひどく背徳的で淫靡な行為だ。だからこそ、より興奮が高まる。
ジンイェンの熱い掌でまとめて包まれ、ゆるゆると扱かれる。先端から滲んだ汁で滑らせながら裏筋の感じるところが擦れると、腰の疼きに重みが増した。

「あっ……あ、あ」
「は……っ、アンタの、すげー硬くなってる……」
「っん、き、きみの、だって」

エリオットはジンイェンの肩に手を置いて脱ぎかけの衣服を握り込んだ。
あふれ出す二人の先走りで潤い、手が上下するたびにくちゅくちゅと卑猥な音が立つ。
聴覚すら犯されてゆく感覚にすっかりと堕ちてしまったエリオットは、ジンイェンの唇に柔らかく噛み付きながら自ら舌を絡めた。
口付けながら腰を揺らし、貪欲に快感を追う。そんなエリオットにジンイェンもまた煽られ、手の動きを速めた。
久しぶりの恋人との触れ合いに身体も思考も熱く痺れ、限界はすぐに迫ってきた。

「あ、あ、ジン……ぼ、僕もう、出そう、だ」
「んっ、うん、俺も、イきそ……ッ」

ジンイェンの手が二本をきつめに握り、激しく扱いた。
彼は自分の好きなように、エリオットは彼から与えられる予測のつかない動きで。その刺激が互いを高め合い絶頂に誘った。

「あッ、ふっ……ん、んんっ!」

再び口付けたその瞬間、二人はほとんど同時に達した。二人分の精液をジンイェンの手が受け止める。粘度の高いそれは熱く、普段よりも量が多い。青臭さが鼻についたが、それすらも淫猥に感じた。
目の奥がちかちかとするほどの射精は一人でするよりも放出の快感が段違いだ。エリオットは乱れた息を整えるためにジンイェンの肩にもたれかかった。
ジンイェンは、そんな放心状態の恋人の耳元に軽くキスを落とした。

「エリオット……」
「あっ……!」

脱力してもたれかかるエリオットをやや強引な力でベッドに引き倒す。そうしてジンイェンはエリオットの足の間に割り入り、陰嚢の更に下――ひくつく穴に精液で濡れた指を触れさせた。

「えっ、あ、ジン……!?」
「一回で終わるわけないでしょ」
「で、でも……」

すっかり興奮しきった表情で舌なめずりしながら、ジンイェンが二人分の精液をその場所に塗り込む。
それが自分と恋人の混ざり合った粘液だと思うと恥ずかしくも歓喜に似た感情を覚えて、エリオットは喉を鳴らした。

「したい。いい?」
「……ああ。僕も、足りない」

きみが足りない。もっと欲しい。
離れていた時間を埋めるには、まだまだ愛し足りない。

二人は服を取り払う間も惜しんで再び深いキスを交わした。そうしながらもジンイェンの指がアナルを探る。
長い指が中に押し入ると、感じる場所を刺激してほしくてエリオットの腰が艶かしく動いた。

「んー?どうしたの?」
「あ……っ、ゆ、指で、してほしい……」
「はは、素直でかわいーね」

ジンイェンが指を折り曲げてエリオットの好きな箇所を擦る。するとか細い声で喘ぎ声が上がった。それはとろりとした甘さのある声だった。
併せてジンイェンは、ツンと立ち上がった乳首を舌先で押しつぶした。その皮膚は鳥肌立っているが火照りを帯びてほんのりと赤く、色気を際立たせていた。


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