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ジンイェンが頬や顎のラインに口付けを繰り返しながら、仕立ての良い服を次々剥いでゆく。
いつものことではあるがその手際の良さにエリオットは感心した。

「宮廷のメシは美味い?」
「きみの料理ほどじゃない」
「はは、嬉しいこと言ってくれるね。屋敷に帰ったらアンタの好きなもの全部作ってあげる」
「それは、楽しみだな……あっ、ん」

乳首をつままれたあと舌先で押しつぶされて、エリオットの腰が跳ねた。特に敏感な左の突起を執拗に吸っては舐められ、肌が上気し始める。
エリオットは丁寧でしつこいくらいの愛撫に身悶えていたが、ふと小さな疑問が湧いてきた。

「僕にしてばっかりで、あっ、きみはつまらなくない、のか」
「全然?アンタが乱れるとこ見るの好きだし楽しいよ?」
「でも……ぁ、ぅん、んっ」
「そーやって気持ちいいの我慢してるとこも可愛いし」

もっとやらしい声聞かせて、と淫らに誘われると腹の奥が重く疼いた。幾度も快感を覚えこまされた体が反応する。
ジンイェンも自分の帯を解いて前開きの襟をくつろげた。手早く脱いでしまうと、改めてエリオットに覆い被さった。そうして、じんわりと熱を孕んだ手を持ち上げ、その甲にキスを落とす。
キスは手首に下り、腕、脇腹、臍、足の付け根へと移動し、ついにはペニスにたどり着いた。
竿を扱かれながら敏感な裏筋を舐められてエリオットは快感に打ち震えた。

「あっ、あっ……や、だめ、ジン……ッ」
「んー?やなの?」

ぐり、と鈴口に舌先を押し当てられあられもない声が上がる。
口淫はジンイェンにされたのが初めてだったせいか未だに慣れない。温かい口内に包まれていてはいくらも持ちそうになかった。

「ま、待って、あんまり、しないでくれ」
「どーして?アンタいっつもそう言うよね。初めてのときのアレのせいで苦手意識でもあるの?」

初めて体を繋げたとき、魔力交合という特殊な状況下だったこともあり口淫に苦い思い出があるのはたしかだ。
けれどエリオットは首を横に振った。

「先に果てるより、その……きみと一緒がいいから……」
「……ねえ、そんな可愛いこと言われたら俺、また手加減できなくなっちゃうんだけど」
「いい。そんな気づかい、いらない……だから」

早くほしい、と薔薇色に濡れた唇が紡いだ。
表では禁欲的なエリオットがこんな風になることを、他の誰も知らない。そのことにジンイェンは優越感めいたものや、純粋な愛おしさを感じた。
彼の気が変わらないうちにとばかりに布袋の中から軟膏を取り出して、硬く閉じているエリオットの窄まりにたっぷりと塗った。
そのまま指を一本入れられたエリオットは、ぎゅうぎゅうとそれを締め付けた。

「ん……ん、ぅあ、あ」
「痛くない?」
「だい、じょ、ぶ……あっ、あっ」

受け入れやすいように足を大きく開いて身悶える恋人の姿を見下ろしながら、ジンイェンはごくりと喉を鳴らした。


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