忘却大陸物語

「ふっ……う」

ジンイェンの指の感覚に思わず歯を立ててしまって、慌ててペニスから口を放すエリオット。
その間にも長く節くれだった指はどんどん中に入った。

「あ……あ……」

軟膏のぬめりを借りて抵抗なく入っていく。
そして中にも軟膏を塗り込むようにぐるりと内壁を探られて、エリオットは体を跳ねさせた。

「んぁっ！」
「……あれ、イイとこ当たった？」
「わ、わからな……あっ！」

再びジンイェンの指先が内部のしこりを掻くとエリオットの下半身が熱く高ぶった。
執拗にそこを攻められ、先端からじわりと先走りを滲ませる。

「や、やだ、そこばっかり……ジン……！」
「いやー、だってアンタの反応がすごくて」

かわいい、と色気のある声で熱っぽく囁かれ、エリオットの体の力が抜けた。
くたりと倒れこんでしまったエリオットにジンイェンは少し焦った。

「え、あ、どーしたの？具合悪い？」
「違う……」

年下の同性に可愛いと言われて、不快感どころか蕩けてしまうほどの喜びを感じてしまい、エリオットは恥ずかしさでいっぱいになった。
その様子を見たジンイェンもついに理性を手放し、性急に起き上がるとエリオットを再びベッドに沈ませた。

エリオットの足を広げアナルに指を差し入れると、軟膏が溶けてくちゅくちゅと卑猥な音を立てた。
指を三本飲み込ませたところで、ジンイェンはエリオットに口付けた。

「もう挿れるね」
「あ、待って、ジン、あっ！」

先端を穴に擦りつけたあと、ジンイェンは性急に腰を進めた。

「ま、待って、あっ、ゆっくり……あっ、あっ」
「ごめん、出来ない」

ずぶずぶと埋め込まれていく熱い塊に、エリオットは反射的に体を逃げさせた。
しかしジンイェンはその肩を押さえつけてベッドに固定する。そうされて着実に入り込む熱にエリオットの身も心も震えた。

「あっあっ、痛……ジン、だめ……」
「ん……もうちょっと、だから、頑張って……」
「あっ、もう入らなぁ……んんっ！」

一番太い雁首が収まった途端一気にずぶりと半分ほど押し入り、エリオットは背中を弓なりに仰け反らせた。
貫かれる痛みが狭い穴を苛み、初めて繋がったときとは比べ物にならないほどの激痛に襲われる。
青褪め小刻みに震えるその様子を見たジンイェンもさすがに気の毒になり、腰の動きを止めた。

「やっぱ抜く？」
「……い、いい、から、続けてくれ……」

は、は、と浅く呼吸をしながら手を伸ばすエリオットに、ジンイェンは心の底から湧き上がる愛おしさで胸が詰まった。
伸ばされた手を握り、柔らかく笑みを浮かべる。

「……好きだよ、エリオット。愛してる」
「あ、ぼ、僕も……好きだ、ジン、きみを……」

愛している、という言葉は続かなかった。代わりにほろりと涙が零れた。涙は止まらず次々に流れていく。
ジンイェンは握った手に指を絡ませて握りこむとベッドに縫い留め、もう片方の手で腰を抱え上げてまだ収まっていない男根をエリオットの中に全て押し込んだ。

「あ……うぁ……」
「入ったよ、エリオット」

長く息を吐きながらジンイェンが恍惚と呟く。
エリオットの性器はすっかり萎えてしまっているが、反してジンイェンのものは嵩を増した。

「だいじょーぶ？」
「ン……ん」

ジンイェンは、アナルを押し広げられる感覚に耐えているエリオットの顔中にキスを降らせた。
淫らで甘い空気に酔い、この世界の中で互いの存在しか感じられなかった。

「可愛い、エリオット可愛いね……好きだよ、たまんない……」
「ジ、ン……」

息も切れ切れにエリオットが愛しい人の名を呼ぶ。
それを受けてジンイェンは優しい口付けをした。

「……ちょっと動くね」
「ん、あ……ジン……ジン、あ」

ジンイェンが腰を引く動きをすると、それを引き止めるようにアナルがきゅうと収縮した。う、とどちらともなく呻き声が漏れる。

「あ、ちょ、あんま締めないで……イっちゃうって」
「ごめ……あ、だって、中、またっ……」

初めてした時のように、前立腺を擦られる奇妙な快感にエリオットが震えた。
あの時の、魔術によって熱に浮かされたような感覚とは明らかに違う、クリアで生々しい繋がりが二人を襲う。

prev / next

←back