2


とにかく早く家に帰ってジンイェンに会いたかった。
何を言われてもいい、例え本気の恋愛ではなかったと告げられても構わなかった。
彼と離れていたくない、その一心で仮の宿泊施設へと駆け込む。もどかしげに開錠し部屋に入ると、狭い室内に人影があった。
悠々とベッドに腰掛けているその姿に一瞬驚くが、エリオットは考える間もなく飛びついた。

「ジン……!」
「はは、待ちきれなくてこっち来ちゃった」

二人は隙間もないほど抱き合い、貪るように口付けた。唾液と舌を絡め合って互いの存在を確かめ合う。
ジンイェンはいつもの笑みを消して余裕なくエリオットをベッドに沈めた。やや強引なその仕草を拒むことなく、エリオットも彼の首に腕を巻きつけて引き寄せた。

「ごめん……マジでごめん、俺いま抑えきかないよ……」
「いいから、ジン、僕もきみがほしい」

言いながら互いに邪魔な衣服を脱ぎ捨てていく。やがて裸になると改めて抱き合った。
ジンイェンの体には黒々とした痣やかさぶたになった生傷がいくつもあり、それを痛ましげに見たエリオットは体を離した。
しかしジンイェンはそんなのは構わないとばかりに恋人の体をきつく抱きしめ唇を塞いだ。
言葉を発する時間すら惜しい。舌を絡め、吸う、深いキスを繰り返した。
キスの合間にジンイェンの手がエリオットの乳首を刺激する。擦られて固く芯をもったそれにジンイェンはむしゃぶりついた。

「あ、や、あっ」

激しく吸われたり舌で巧みに転がされてエリオットは甘い嬌声を上げた。さっそく腰の辺りに重い痺れが集まる。
ぐり、と太股に硬く熱いものが擦りつけられてエリオットは眩暈がした。ジンイェンの勃ち上がったペニスが待ちきれないとばかりに股を行き来する。
その行為がどうしようもなく愛おしく思えてエリオットは胸の奥が熱くなった。

「ジ、ジン……」
「ん……?」

エリオットはジンイェンの腕から抜け出して逆に彼をベッドに押さえた。
それを抵抗もせず不思議そうな顔で見ていたジンイェンは、驚きに目を瞠った。エリオットが股間に顔を埋めてジンイェンのものをぱくりと咥えたからだ。
ジンイェンの方からすることはあったが逆は初めてで少し戸惑いながら視線を送る。

「エリオット……」
「ん、む……ふ」

エリオットがゆるゆると唾液を絡めながら血管の浮いた太いペニスを口内に納めてゆく。
苦味のある潮臭い味が感じられて、ジンイェンが先走りの汁を滲ませていることがわかる。それすらも愛おしくてエリオットは夢中で舐めた。
ビクッと震えたあとジンイェンはエリオットの頭を軽く撫でて動きを留めた。

「……ねぇ、それ、ヤッバイ……」
「んっ……ダメ、だったか」
「ちが、気持ちよくて、すぐイっちゃいそー……」

快感に浮かされた頭で少し考えたあと、ジンイェンはエリオットの頬を撫でた。

「……アンタの中に挿れたいんだけど、いい?」
「ん……」

慎重に聞くとエリオットが照れたように小さく頷いた。
もとから覚悟は出来ていたようで躊躇する素振りが見られなかったことにジンイェンは安堵した。

「じゃあ俺に跨って、こっちにお尻向けて?」
「!?」

とんでもない提案にエリオットは驚いたが、ジンイェンを拒むことだけはしたくなくて羞恥心を抑え込みながらそろそろと彼の顔に向けて尻を突き出した。
アナルや陰嚢まで丸見えになる体勢に、ジンイェンはごくりと唾を飲み込んだ。エリオットもすでに勃起していて芯を持ったペニスがふるりと目の前で揺れた。

「すっげー……いい眺め」
「ジ、ジン!」
「ごめんごめん。ね、そのまま俺の舐めて、濡らして?」

少し笑いながらジンイェンは手探りで自分の脱いだ服を引き寄せ、己の持ち物である革袋を探った。
目当てのものはすぐに見つかった。いつも持ち歩いている贔屓にしている薬師特製の軟膏だ。
それを指にたっぷりと掬いエリオットのひくついているアナルに塗りつけた。刺激を受けてそこがきゅんと窄まる。

「あっ」
「冷たかった?」
「ん……」

驚きはすぐに収め、エリオットは再度ジンイェンの屹立を口に含んだ。大きさを増して入りきらないが懸命に舐め上げて唾液を絡める。
一方でジンイェンはエリオットのアナルの襞を丁寧に撫でた。
傷つけないよう指先をつぷりと埋める。



prev / next

←back


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -