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ジンイェンが先端をめり込ませてくると息が詰まった。苦しさにうめき声が出る。

「……うっ……」
「ん……」

挿入しているジンイェンも苦しそうだった。

「……ジン……いやだ……こんなのは……」

浅く呼吸しながらか細く言っても、ジンイェンが動きを止める気配はない。
どうしてこんなことになっているのだろう。互いに服を着たまま、寝室ではない場所で繋がり合うなど。
一度激しく愛し合っていたことが幸いしたのかどうか、ジンイェンの形を覚えていたエリオットのそこは張り詰めた肉を徐々に飲み込んだ。

「……うぁ……くっ……」
「ん……入ったよ、エリオット……」
「う……ぅ」

ゆっくりと注挿が始まると、エリオットも抵抗する気が失せた。ただ、早く終わって欲しかった。
背後でジンイェンの荒い息遣いが聞こえる。

「エリオット……エリオット……」

しきりに名を呼ばれ、エリオットは額に脂汗を滲ませながら涙を流した。愛し合った恋人だが、こんなふうに犯されるのは嫌だった。
エリオットは最中ずっと萎えたままで引き攣れる痛みに必死に耐えた。

ほどなくして中にジンイェンが熱い迸りを出し、暴行はあっけなく終わりを迎える。
ジンイェンが繋がったままエリオットを背後から強く抱きしめる。エリオット、と縋るように切なく名を呼ばれた。

「……気は済んだか」

震える声でエリオットは搾り出した。
男として、恋人としての矜持を手酷く傷つけられたのだ。とてもジンイェンを思いやる余裕などない。

「……ごめん、俺、おかしいね……」
「嫌だと、僕は言った」
「……うん」
「やめてくれ、って……」

情けなくしゃくりあげるとジンイェンがようやく体を開放したので、エリオットは振り向きざまに彼を殴りつけた。
ジンイェンは何も言わずその拳を頬に受けた。力の入らない拳はジンイェンにはさしたる制裁にはならなかったようなのが、また腹立たしい。

「い、痛かった、し……怖かった……!」
「……うん、ごめん……」
「ゆ、許さない……ジン……」
「うん……」

聞きたいことも言いたいこともたくさんあったはずが、エリオットはそれ以上言葉が出なかった。

「好きだよ、エリオット」

泣きそうな表情でジンイェンが笑う。
こんなときに愛の言葉など言って欲しくなかった。
こんな仕打ちをされても、エリオットもやはりジンイェンのことを真に嫌いにはなれないのだから――。

「……俺、頭冷やしてくるね」

ジンイェンはいつものように音もなく暗闇に溶け込んで姿を消した。




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