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四人で買い物して、若林がソバ作って、それら全部を平らげてからグダグダとお喋りした。
若林はまだ溶け込めてない感じはしたけど、とりたてて嫌がってもなかったから安心した。
うん、俺若林とうまくやってけそうだわ。
菓子をつまみながらダラダラしてると、若林が龍哉におススメの漫画とかを熱心に語ってた。
龍哉はそれに根気よく付き合っててすげーなと思った。
俺はソファーを背もたれにしながら床に座ってスマホ見てたんだけど、ソファーに座った千歳が俺の背中に圧し掛かってきた。
「千歳重いんだけど」
「あーもー、だってちょー久々の理仁じゃん?ちょー癒される」
「うっせーな。三春とラブラブしてたのはそっちだろ」
「あれっ、ヤキモチ?ヤキモチなの理仁?」
「ハイハイ寂しかったよダーリン」
「俺もー」
ぎゅーっと抱きしめられてマジで息が詰まった。
苦しいってのこの馬鹿力。
すると千歳が俺の顎をつかんで上向かせ、上からキスしてきた。
「ん……首イテーんだけど。っつかいきなりだな」
「いーじゃん、ほらちゅー」
そう言いながらもう一回してくる千歳に呆れながらもキスを受け入れた。
慣れた匂いと慣れた唇に少し安心する。
そしてハッとして顔を元に戻した。なんか部屋の中がシンとしてると思ったら、若林が俺と千歳を驚いたように見つめてきてた。
「おい千歳やめろって。若林、リアルの男同士のこーゆーのダメなんだって」
「え、そうなん?変なの見せてゴメン若林」
千歳が謝ると、若林は顔を赤くして目を逸らした。
「う、ううんいーよ別に。あんまりにも自然で驚いただけだし。えっと……二人って付き合ってんの?」
「え?全然。ただの友達」
「うんそう。ただのスキンシップ」
平然と言う俺と千歳に若林が戸惑ってた。
その横で龍哉が苦笑する。ちょっと前まで龍哉も同じ様なことしてたしな。
なんか変な空気になったから、その場はうやむやにして今日のところは解散になった。龍哉と千歳を送り出して、再び若林と二人きりになる。
「あーやべ、今日はすぐ寝ちゃいそうだわ。つかお前は夕飯どうする?」
「俺は自炊……」
「そか。俺どうしよう、あんま腹減ってないし買ってきて軽くで済ませるわ」
「良かったら俺志賀君の分も作るけど」
「えっ、若林って良妻キャラなの?俺の嫁になんの?でもいーよ、お前だって疲れてんだから気遣わなくてさ」
伸びをしながら若林に言うと、なんだか微妙な顔つきをしてた。
「……志賀君モテるわけだわ。俺ちょっとキュンとしちゃった」
「は、何?何だって?」
「なんでもない」
若林は相変わらず何考えてんのかわかんない顔でそっぽを向いた。
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