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朝起きたらなんだかいい匂いがしてきた。

匂いにつられてスウェットのままリビングスペースに出て行くと、そこには若林の無表情があった。

「おはよ若林」
「おはよう」

エプロンして何してるのかと思ったら、朝飯を作ってたらしい。
なんとなくオカンと呼びたくなった。

「……志賀君さ」
「ん?」
「俺が作ったのでよければ朝飯食べる?」
「え、いーの?マジで?」
「うん」
「うわマジ嬉しい!若林って朝は和食派?洋食派?」
「和食」
「そっかー俺洋食派だからちょうどいいかもな。バランス的な?」

うきうきしながらそう言うと、若林が怪訝そうな顔をした。

「え、なに?」
「バランスってなに?」
「えーだって和、洋、和、洋で順番に食べられて楽しくね?気分変わっていいじゃんよ」

俺の言葉に若林はすごくびっくりしてた。
え、びっくりすることにびっくりなんだけど、俺なんか変なこと言った?

「えっと……なんかおかしかった?若林って洋食食べられない?」
「や……つーか交互に作るんだ」
「え?ダメ?」
「……ううん、それでいい」

若林は無表情で感情が分かりにくい。
本当にいいと思ってんのかな。まぁダメだったら言ってくれることを期待したい。

「あ、つっても俺真面目に自炊するの朝だけだから。夜は学食行くこともあるし適当にするから自由って事にしといてくんない?」
「いいよ」

今度はあっさり頷く若林にホッとした。

気分を切り替えて若林が用意してくれたっていう朝食をテーブルに並べた。
旅館の朝飯みたいな純和風。マジでオカンだな若林君。

リビングのテーブルに座るとエプロンを外した若林も向かいに座った。
いただきますと声をかけると向かいの無表情がムズムズと動いた。もしかして照れてんの?



若林の手料理は超うまかった。

コイツが同室になってくれてよかったかも、と現金なことを考えながら食後のお茶を一緒に飲んだ。

「そういやさー、若林って何組?」
「A」
「マジか。すげー頭いいんだな」
「まあね。一応特待生だから」

ん?今コイツ特待生っつったか?

「特待生って一人部屋もらえるんじゃなかったっけ?」
「いや?……ああ、外部入学だからかも」
「ふーん、高等部からなんだ。マジで頭いいんだなお前。すげぇ」

今度テスト前に頼ろう。
いや、A組は俺とやってる範囲が違うかもしんない。でも聞いたら教えてくれるかも?





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