20




三春が転入して一週間が過ぎようとしていた。

なんとも濃い五日間だった。
『生徒会室のドアが壊れちゃったよ事件』から、とにかく忙しかった。

どうも三春はものすごい馬鹿力というか加減を知らないヤツらしくて校内の備品を破壊しまくった。

しかし壊れるのは老朽化していた箇所ばかりで近いうちに壊れてただろうなーっていうものばかりだからなんとも叱るに叱りきれない微妙なラインだった。

生徒会室のドアも気付かないうちに蝶番がダメになっていたらしく、思いっきりドアを開けたらあっけなく外れただけだった。

創立68年目の伝統ある我が校も増築やリフォームを重ねに重ねているけど、やっぱりガタがきてるところはたくさんある。

十年ほど前、二、三年かけて大々的な改装工事をしたから現代デザインで新築並みに綺麗だけど、旧校舎なんかは時代錯誤な和洋折衷でレトロな内装だし。

しかし壊されるたびに学園宛てに故障箇所をいちいち報告しないといけないのは面倒くさい。風紀からその書類の監査がガンガン回ってくる。
ドアや床などの施設は生徒会予算で賄うことはしないが、クラブの備品は部費で賄わないとならないから該当部員全員が真っ青になっていた。

俺たちもその対応に追われて胃が痛くなるほど忙しかった。もう三春を物見遊山気分で見に行くどころじゃない。

しかも困ったことに三春は、どんな手段を使ったのか執行部を私物化していて業務がいまいち滞っていた。

体育祭が近いからやらなきゃいけないことはたくさんあんのになぁ。


ちなみに千歳は三春に文字通り「捕まってる」らしい。


転校初日になぜか気に入られたらしく「おれと友達になろうぜっ!」ときらきらの笑顔で迫られ、それ以来騒動に引きずり回されてるらしい。

気にしてやりたいとこだけど俺も自分のことで精一杯でメールでやりとりするくらいしか出来なかった。

龍哉は寮でちょくちょく会ってたらしいけど、俺は寮に帰ってきたら風呂入って課題やってるうちに爆睡コースだったから残念ながら混ざれなかった。




prev / next

←back


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -