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「それで――」

北條先輩が言いかけると、突然部屋の外からでかい音が聞こえた。

バンとかドンとかいう銃の発砲音にも似た音が。

何事かと思ってドアの方を見ると、慌てた様子の仁王像警備たちが部屋の中に入ってきた。

「どうした、何事だ!」
「あの、そ、それが生徒会室の方で――」
「チッ、またあいつらか」

北條先輩は盛大な舌打ちをして立ち上がった。

号令されずとも委員長の後を数人の風紀委員がぞろぞろとついていき、下級生と思しき委員三人はその場で油断なく待機した。

緊急事態でも乱れのない統率力はすごいと思う。

俺は田中先輩を見た。すると先輩の方も不安げな表情で俺を見ていた。

「……俺たちどうします?」
「うーん……帰ってもいいかな?」
「今外に出たら確実に巻き込まれますよね」
「だよねぇ」

何が起こってるのかすっげー気になるけど、わざわざ火の粉を被りにいくのも馬鹿らしい。昨日の今日で仁科と顔を合わせたくないし。

よく聞こえないけど、部屋の外では言い争ってるっぽい。

「……とりあえず座っていい?」

部屋に残ってる下級生君に聞いてみると、慌てて椅子を出してくれた。騒動が治まるのを見計らうしかなさそうだ。

手持ち無沙汰に田中先輩と昨日見たクイズ番組のことを語り合ってたら気を利かせたらしい下級生君たちがお茶を出してくれた。

そのうちに下級生君たちも話に混ざってきてクイズ大会みたいな様相になってきたところで、ようやく北條先輩たちが戻ってきた。

うわぁ、すごく機嫌悪そう。

「……なんだ、まだいたのか」
「帰っていいとも言われなかったので」

あ、田中先輩地味に怒ってる。
北條先輩も失言だと気付いたのか申し訳なさそうに少し表情を緩めた。

「何があったんですか?」
「あ、いや、今日転入してきた生徒がいるんだが、彼のことで」
「それって三春翼のことですか?」

俺が口を挟むと田中先輩と北條先輩がこちらを同時に見た。
とっさに口出しただけだからなんとなく居心地悪い思いをする。

北條先輩は大きく長い溜息を吐いて首肯した。

「志賀は三春を知ってるのか?」
「え、いや、噂だけです。隣のクラスだし色々情報入ってくるんで」
「……そうか」

なんだやっぱり芸人なのか?
それとも北條先輩がここまで憔悴するって事は超問題児?やべー超見てー。

「あの大きな音はなんだったんですか?」
「……ドアが壊れた」
「は?」
「生徒会室のドアが」



えっ。






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