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「……あー、俺もケナゲな彼女か彼氏ほしー」
「滝、彼女いるっつってたじゃん」
「昨日別れた」
「はぁ?なんで?」
「俺がちょっと電話とかメールの返事遅れるとちょーキレてそのたびに『別れる』っつう女でさ、めんどくさくなって別れた」
「この学園で彼女持ちとかすげー貴重なのにもったいねーな」
「俺もそー思って付き合い続けてたんだけどさー、貴重でも何でもやっぱ性格合わないとキツイわ。男でもいいからケナゲなのがいい」

滝のダルそうな言葉に俺は苦笑した。

「贅沢なヤツ」
「志賀は?誰か付き合ってるやついねーの?」
「いねーよ」
「なんだお前モテんだから彼氏の一人や二人作ればいいじゃん」
「モテた覚えないけど……」

そう言うと滝が驚いたように目を見開いた。え、そこ驚くとこ?

「え、うそ俺モテ期到来してたの?いつ?」
「いつってゆーか……え、知らないのマジで?」
「えっ」
「えっ」

思わず滝を食い入るように見つめてしまった。さっと目を逸らされる。

そこんとこちゃんと教えてくれよ!
いや、でも男にばっかりモテてもなぁ……男同士でキスもセックスもできちゃうけど完全ゲイってわけじゃないし。

この学園の風潮に適応してるだけって感じで、抜くときのオカズは普通に女の裸だし。

それ以前に俺は今、好きなヤツがいるからなぁ。
完全に絶望的な相手だけど、心がアイツに向かってる限りは誰かと付き合うとかそういう気になれない。

「……うん、まあ俺の知らないモテ期が来てようと今はそーゆーのいいや」
「あー、お前が誰かと付き合ったらみんなのキス友いなくなっちゃうしね」
「おいヤリマンビッチみたいに言うなよ。あと別に好きでやってんじゃねーからな?」
「そうなの?」
「うん。まあ……流れでなんとなくそんな感じになってるけど」

そんな目で見られてたなんて俺は悲しいです。キスするのは嫌いじゃないけどさ。

「えーじゃあ志賀キスして」
「なんでそういう話になんだよ」
「そういう流れだろ今のは」
「ワケ分からん。てか今日まだ歯磨いてないからパス」

えぇー、と不満げな声を上げた滝は無視して備え付けの雑誌を読み始めた。
いつも最新雑誌が置いてあるサービスの良さ。

滝もそれ以上は食い下がらなかったから適当にダラダラ話をした。


滝の方が早く洗濯が終わったから見送ると、去り際に滝が俺にこっそりとマル秘情報を教えてくれた。

「あ、そうそう。今日風紀の服装検査あるから気をつけろよー」
「マジか。さんきゅ」

俺はゴウンゴウン音を立てるランドリールームの中、ぼんやりと雑誌を読みふけった。





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