記念品 | ナノ

大好きなの、


「名前ー」

ガチャ、と私の自室のドアを開けて入ってきたのは王子ことベルフェゴール。
私はというと、今日は任務が無くてお休みだし自室でゆっくり過ごそうと思ってたものだからちょっとビックリした。
てか、ノックしようよ!って、いつも言ってるんだけどベルがノックして入って来た試しが無い。

そんな事はお構いなしに、ベルは何やら良いことを思い付いたようで、素晴らしい笑顔でこちらに近づいてくる。
なんか嫌な予感がする…。

「な、何かなベル君?」

「王子とどっか行かねー?」

え?あれっ?嫌な予感外れた!
って…お出かけ?なんでまた。

「俺、今日任務ねーから暇なんだよなー」

…どうやら今日はベルも任務が入ってなくてお休みらしい。せっかくだからと、私を誘いに来てくれたみたい。まぁ、私も今日は休みだし、出掛けるの好きだからいいんだけど…。

私がいいよー、と言う前にコンコン、という音がして、いつの間に居たのか開きっぱなしだったドアの所に蛙ことフランがいた。

「名前さん、入りますよー」

フランは意外と礼儀正しい。ちゃんとノックして一言断ってから入って来たよ。普段は生意気なくせにね。

「フラン…どうしたの?」

「えっとー、名前さんをデートに誘いに来ましたー」

おっと、直球だね。デート…まぁ、お出かけだよね。ベルも似たような事言ってたけど、なぁ。

「ふざけんなよカエル。王子が先だっての。つか名前とデートとか俺が許さねぇし」

…やっぱり。ベルが突っ掛かると思ってた。この二人が揃うと碌なことない。また喧嘩が始まるんだろう。

「うわ、居たんですかー?堕王子」

「誰が堕王子だっ。つか何名前誘っちゃってんの?」

「いいじゃないですか別にー。ミー今日は任務無いんですよー」

どうやらフランも今日は休みらしい。幹部が同じ日に三人も休みで大丈夫なのかヴァリアー。

…それはさておき、今にも喧嘩(と言う名の殺し合い)を始めそうな二人。ホントにこの二人は仲が良いよね。(違う)

えーと…、どうしたものか。
と、私が思案してる間も「王子のが早く来たんだから早い者勝ちだろ」とか、「許可もらってないくせにー」とか聞こえる。(てかフラン、私とベルの会話聞いてたのね。)

うーん…私の部屋で暴れられても困るしなぁ。ついこの間も二人が私の部屋で暴れたせいで、色々と被害が(私だけに)あって大変だったし…。
まぁ、こっぴどく叱っておいたんだけど。

「この際名前さんが決めればいいと思いまーす」

「…ししっ、賛成♪ なぁ名前、選べよ」

若干遠い目をしていた私に、口喧嘩をしていたはずの二人が話し掛ける。(まだ喧嘩はしてないみたいだった。叱ったのが効いたね☆←)

「…はい?」

当然、話を聞いていなかった私は、唐突に選べと言われてハテナを飛ばすしかない。
…どゆこと?

「だからー、どっちとデートするか。選べって」

「…あぁ、そう言うことね」

そう言えばそんな理由で喧嘩していた気がする。
納得した私は改めて二人を見る。

「当然ミーですよねー?名前さん」

「俺に決まってんだろ?名前」

どこから来るんだその自信は。

私はうーん…と唸って、考えるフリ。
実はもう答えは出ている。しかし二人が真面目に聞いてくるものだからちょっとした悪戯心が、ね。

「…名前さーん?」

「…名前?」

「…………ぷっ」

暫く俯いて考え込む私を心配してか、二人が顔を覗き込んできたので私は堪らず笑い声が漏れた。

「あはははっ!」

「「?」」

いきなり笑い出した私に、二人は頭にクエスチョンマークを飛ばしている。そりゃそうか。
でも、だって。

「…選ぶなんて出来ないよ。二人とも大好きだからね」

「「!」」



大好きなの、二人ともね
((…その笑顔でその台詞は反則だ…。))

(ってことで、今日は私の部屋で三人でゆっくりしない?)
(…ま、それもいっか)
(…一時休戦といきますかー)



−−−−−−
瑠菜様へ!相互感謝です☆
(お持ち帰りは瑠菜様のみ)

この後、地味に名前ちゃんの隣に座る権利争奪戦が行われると思われる。で、結局両隣に座って名前ちゃんが挟まれる感じ。

20120124



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