+梨+

午後三時をちょっと過ぎた頃。
「ただいまぁ〜」
高い声で、当然のようにただいま、と彼は言う。
照れくさくもありながら、おかえり、と迎える。
彼の手には、かさりと音をたてるビニール袋。
「なにそれ。」
指さすと、袋に手を突っ込んで、取り出したのは球体の、今が旬の果実。
「梨だ。」
「そうやでースーパー行ったら並んでたから買うてきた。」
食べる?梨を持ったまま問われたので、縦に頷いた。
ケンがうちに来るようになってから、ちゃんと我が家にも包丁がある。
ユキヒロ自身は滅多に使わないが。
梨を剥くケンの隣で、コーヒーを淹れて、二人でソファに腰掛ける。
最初に梨に手を伸ばしたのはケンだった。
「あまーい!」
美味しそうに頬張る姿を見て、ユキヒロも一口。
しゃりしゃりとした食感、甘みが口いっぱいに広がる。
「これ甘いね。」
「甘くておいしそーなの選んできたから!あたりやったな。」
にこり、と笑ってケンはもうひとつ頬張る。
そんなケンの言葉に笑って、ユキヒロももうひとつ頬張る。
三時のおやつは、ゆったりと、君と二人で。



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