4番…織田…今のところはノーデータだ。
ボーイズのころもアイツには苦戦したよな…。
あの頃を思いだし思わず空笑いを漏らす。
アイツはまず一打席目は必ず様子をみる…阿部もデータを取るようだろう。あんまデータ取れないだろうけどな…見たとしても織田には打ちづらいけどな。
「あいつが4番だったな」
「お、あ、関西弁のっ」
「ランナーなしで当たれる。この打席であいつのデータをなるべく取りたいんだ」
「デ、データ」
「そ、データ。探り入れてくから打たれっかもしんねェけど後ろ抑えりゃらいんだからな。ビビんなよ!」
「はいっ」
阿部がホームに戻り試合が再開する。
一球目まっすぐをインハイに外すが織田はピクリとも動かない。
(随分しっかり見たな。打つ気があんならボール球でもどっかが動くもんだが・・・。一球目は見るってタイプか?もう一球インで試す。今度は低目だ!)
「ボォッ!」
織田のヤツ全く動かねェな・・・。アイツが待球する柄じゃないしな・・・もしかしてあのピッチャーか?妙に三橋を意識してる見てェだし・・・あのピッチャーが織田に変なこと吹き込んだか?
考えても仕方ない・・・と目を逸らすとカキーンと音がなる。どうやら織田が三橋の球を打ったようだ。打球は三塁コーチャーへ向かったが運良くコーチャーから打球は逸れて当たらずに済んでいた。三橋をチラリ見るとかなり動揺している。三橋!!と阿部の怒鳴り声が響く相変わらず煩い奴だ・・・。
三球目織田は見逃し三振。
[5番キャッチャー"畠君"]
つづく
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