おお振り ストロベリーヒーロー | ナノ



「コーラ!打たねェか!」
「へっ」
「さんざん打ったタマだろうが」
「イヤ、ちょっと打ちにくいよ中学ン時とは違ってるスピードも付いてるし……」
(またボール。こいつが中学時代ヒイキでエースやりよったヤツか。話半分に気いとったけど球遅いしコントロール悪いしホンマにヒイキやったやなァ――のわりには打てんの)
「三橋の球織田には打ちにくいかもよ」
「――叶なに?」
「お前2、3年の遠征ついて行きたがってたけど三橋の球打っとくのもいいと思うよ。つーか西浦どんだけ選手いねェんだ?あんな小さいヤツベンチいるけどよ」
「せやなァ」

「トラックアウト!!」

(――なんや叶は"ミハシ"に一目置いとんのか?もしかして叶はヒイキと思ってないとか?)
「また伸びた?」
「ん?」

(叶はええ投手や今日かてセレクション組さしおいて投げとる。ヒイキでもなきゃ中学でも叶がエースやろ。それにしてもオレには打ちにくいてどういう意味や。キャッチの技術高いからえらくいい音さしてるけど110くらいさか出とらんしフォームも特にクセないし……"オレには"でなんや?)
「トラックアウッ!」(ま、中学の内輪モメ知らんもんには燃えん試合や。1コ楽しみできて良かったぁ)

(通用するぞ!宮川君と、柊君と、吉君から、アウト、取った、ぞ。こっこれは、阿部君の、力だっキャッチャーってスゴイ!阿部君は、スゴイ…人、だぞっ)

「なぁ惟世!」
「なに田島?」
「勝負しょうぜ!」
「勝負?なんの?」
「どっちが打つか!」
「んー」
オレじゃなくて花井に言えよなー…。
花井をちらっと見る。
「いいよ」
「負けた方は罰ゲームな!」
「いいよー田島決めとけ」
「おまえは?」
「んーオレ負けないから決めない」
「うおっ!?スゲェ自信オレだって負けねェかんな!」
「おら、さっさとバッターボックス行ってこい」
「うへーい」

『二回の表西浦の攻撃は4番、サード、田島』

「はーい!」
(このレベルなら完封させてやれる!)
「ナイピッチ!」
「う、うへっえへっ」
(あとは点だ。打てよ田島!)



つづく



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