｢西広ーちょっと､｣
｢んー?どうしたの苺｣
｢守備中スコア付けようか､多分ちよがつけてっけどさコレ､オレが常備してるスコアブック予備のやつ西広にやるからこれからスコア付けな｣
｢くれるの!?ありがとう!｣
｢えーっとボールカウントはこの長い所に書いて右下から反時計回りでまず右下下には打者が打った結果を書くんだこんな風にね｣
｢うんうん｣
｢―――これでスコアが完成一気に教えちゃったけど西広覚え早いからとりあえず大丈夫そうだな｣
｢な､なんとか…｣
｢わからなくなったらオレに聞け｣
｢うん､わかった!｣
おーっしオレは投球書きますか…｡
｢苺君!｣
｢へ?｣
｢西広君にスコアの書き方教えてくれてありがとう!｣
｢いえいえ､学びながら野球を知った方がわかりやすいでしょ｡ほら､百聞は一見にしかずって言うじゃないですか｣
(この子をコーチにしたら…凄く面白いチームになりそう!!!)
｢さぁ始まりますよ｡がんばれ三橋!｣
｢宮川ぶったたけ!!｣
｢おお!!｣
(宮川はミートがうまい特に低目は上手に当てる…ねこっちが向こうわ知ってる分向こうもこっちをしってるんじゃ五分だ｡宮川には中学時代の三橋とは違うって印象持たせるぞ!)
(真ん中､に､全力投球……!?全力投球､して､いいんだっ畠君､叶君､見て!これが､オレの……全力だよ!)
｢!!｣
三橋の全力投球…ミットのいい音が奏でてる｡
オレはつかさずベンチから声を出す｡
｢ナイピ!ナイピ!｣
(っぶねェ……)
｢トライイイッ!｣
｢えっ!?｣
｢スイング!｣
｢あ､振った…ハイ､スイマセン｣
｢よけスギ､よりスギ!｣
｢当たっても痛くねーぞ!｣
お前らバカだろ…軟式じねェんだからつーか､ミットの音もわかんねェなんてアホ決定だな｡オレが三橋ならデッドボール食らわせるぞ…ピッチャーじゃなくて良かった!
(イヤ痛いって……だってミットいい音してるじゃん中学ン時畠のミットはこんな音してなかった…三橋のヤツ早くなってる!)
(だ…だめだあっやっぱ､全然､コントロール､できないー)
｢三橋!ナイスボール!｣
(ナイス?どこが?)
(全力投球が､入ら､ない…のは､阿部君の､計算の､内…だいじょうぶ…阿部君に､任せれば…だいじょうぶ!)
さっきよりヒジの位置が低くなったな…阿部は速球を意識させようとしたのか…｡
(インの低目にスライダーをはずすぞ｡お前のスライダーは少し落ちるからな)
(ストライクの高さからボールになるところ……)
(低目入ってる!ムキッ落ちた!)
２球目宮川の打球は前でバウンドしピッチャーゴロ
｢アウト!｣
｢オッケ!ナイスピッチ!｣
｢ワンナウトーー!｣
｢ワン､ナウトー｣
｢しゃすっ｣
(こっちも同じくピッチャーゴロで先頭切ったぞ!さすがマウンドには慣れてるや｡三橋も結構サマになってんじゃん!)
prev / next