モモカンが全力投球で投げた。
「(な、なんか…速、かった、ような…。)!!Σ」
三橋はかなりビックリしていた。
「ひゃ…ひゃ…122q!!!!」
「ちゃんと肩つくればもう2・3qいくかな?」
手を振りながらモモカンが言った。
「すっすっすっ凄い!!!!はっはっ速いいい!!!!」
三橋がプルプルしながらキラキラしていた。
「まーまー私たちそう体形変わらないわよね」
「へ」
「三橋君もこのくらいは出るよ!」
「ええええっっ」
「チッ」
俺は阿部が舌打ちしたことに気づいたがあえて見なかった。
「まずは"全力投球"を体験してもらおう。ハイ、これ」
モモカンは三橋に5sダンベルを渡した。
「うおっ」
「これを持ったままいつも通りに投げてごらん。」
「……え」
「マウンド行ってー」
三橋は言われるがままにマウンドに行った。
「球威上げるのがいけないこと?」
「は?」
「コントロールと変化球だけで何回戦まで行けるの?」
「行けますよどこまででも」
「"オレがリードしてやれば?"」
「!!」
モ「阿部君は捕手をわかってないね。」
俺はモモカンと阿部のやり取りを横目で見ていた。
「い、行きまーす」
「はーい!」
三橋はマウンドでダンベルを持ちながら投球した。
左が重くて体が回ってない右を引かなきゃ投げられない様子。右を引いたせいで右手が伸びきっている。
伸びきった状態から投球をした。
その反動で三橋の体が浮き一回転した。
どうやら腕がピリピリしている様だ。俺は三橋の元へ駆け寄った。
「111q10qアップね」
「111!!!」
三橋が起き上がった。
「毛細血管の切れるカンジわかった?」
「きっ切れ、てるっ切れて、るっっ」
「将来的には130q台を投げられるよ!」
「こんなノーコン使えねェよ!」
「おい!阿部!!」
「……あ、阿部君……オ、オレがんばる…から…球威も…コントロールも、ある投手に…」
「9分割のストライクゾーンだぞ!130qでできるわけないだろ!こいつはこのままでいいんです。スピードは才能だけどコントロールは努力です。こいつがどんだけ努力してきたかあのコントロールがどれだけ貴重か考えてくださいよ!」
モモカンは三橋に投球指示と体幹を鍛えるよう告げた。
そして俺達は三星の対戦が同じ1年がやるということ。
「130qじゃ速球派にはなれないよ。お前自分の魅力わかってないよおまえにスピードは必要ないってオレが……」
「―――遅い、まま…じゃ、イヤだ…速いタマ…投げ、たい!」
「――…お前の為に言ってんのに1回フォームいじったら元には戻らないぞ…!(シカトかよ!)」
三橋は阿部の言葉に耳を傾けずに体幹トレーニングを始めた。
「おい…阿部!!」
「あ?」
なにイラついてるんだ?」
「別にイラついてねェよ!」
「じゃあなんでそんなに怖がってるわけ?なにに恐れてんの?なに焦ってんの?誰と三橋を重ねてんの?」
「っ!!……別に怖がってねェし恐れてもねェし焦っても重ねてもねェよ!」
「言っとくけど球威だって努力たんだよ!コントロールだけじゃない…バッティングも努力にまさる才能はない!肩だって自分の努力だ!お前のキャッチャーセンスだって努力だろ!」
「っっ!!(何でコイツには見透かされんだよ……!!)」
「…もっと三橋を信じてやれよ…バッテリーは…お前の頭だけじゃ成り立たないんだよ…信頼関係が成り立ってバッテリーになんだよ…!」
「適当なこと言うなよ!!お前になにがわかんだよ!!」
阿部にどつかれて意外に力が強くて尻餅をついた。
「…っ!!とにかく三橋は俺に任せろ。阿部は戻っていいぞ…」
「……頼む……。」
「惟世…君…だ、大…丈夫…?」
「おう!大丈夫…!」
「オ、オレが、がんば…る…!」
「おう…頑張れよ!」
「……うひっっ」
三橋にマッサージをして体幹トレーニングを見て俺達は帰ってきた。
続く
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