おお振り ストロベリーヒーロー | ナノ



「…ところでさあ三橋君はMAX何キロなの?」
「……ひゃく…いちキロ…」
「……」
「101キロ!!?すいぶんおそまつねええ!!!」
モモカンはどばうっと笑った。
「「三橋にはスピード不足を補うコントロールがあります!』」
「(ふ、二人共…か、ばって、くれる…!?)」
「はっはは!」
「「「!?」」」
「阿部君と惟世君はさァコントロールの良さの正体気づいてるんでしょ?」
「……。」
「…正体……?」

「惟世君」
「はい。」
「この上でワインドアップしてみて。」
モモカンの足元に転がっている角材を指差している。

俺は足場が安定してるか確かめて角材に乗った。

ワインドアップ……。

右足を上げて角材の上でピタッと止まった。

「惟世君は上出来ね。三橋君やってみて!」

「(ワ、ワイ…ンド、アップ…)えっと(じ、軸足。なんだ、割りと…安、定…し、てい…る…。んで、左、足を……)!?」
足場が崩れ三橋はそのまま転んだ。

「ぁわっ」「おい……」
「あっはははっこりゃまたとびっきりの体幹だねェ!そんなグラグラの体幹でコントロールがいいわけないよねェ」
「う、うっ」
「惟世君が転ばなかったのは体幹が鍛えられてるから!コントロールは手でするんじゃないのよ体でするの!あなたが弱い体幹にも係わらずコントロールがいいのは全力投球してないからよ!」
「…し、してます……」
モモカンはニッコリ笑った。

「あなたより身長もないし体重の軽い130kmも出てるの可笑しいと思わない?」
「……。」
「ジャイロボールのフォームを少しアレンジしてるからです。チェンジアップを使ってるんで急緩をつけるためにストレートは全力投球で投げなければならない訳で球速をあげるための投球指導を受けました。三橋は投球指導を受けていないから体の使い方をわかってないからです。」

「うん、そうだね。阿部君座って!ミットだけしてね!」
モモカンはグローブをはめ三橋にスピードガンを渡したマウンドに上がった。
俺はアイちゃんとくろ太を持って離れた位置で見ることにした。


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