小説 | ナノ


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私の家は代々由緒正しい音楽一家でクラシックやジャズ以外の音楽は全部騒音として教え込まれてきたテレビの音もラジオの音も人の音もない唯一許されていた音は楽器の音と蓄音機の音田舎を選んだのはその理由で本当に変な家庭だって気づいたのは高校生になってからだ。
小さい頃から一日中音楽漬けの毎日私は音楽が大っ嫌いだった。
ピアノのレッスンで怒る母も楽器を弾いてつまずいたり音を外すと叩く父も私と違って天才で何でもできて出来ない私をあざ笑う出来のいい弟も皆、皆、大っ嫌い。
ひどい時は倉庫に閉じ込められた時もあるお陰で暗所恐怖症になったのは言うまでもない。


幼い頃骨折したのは自分がわざとやったことだったりするレッスンが嫌であの時は本気で腕なんか一生使えなくなってもいいと思ってた寧ろその方がよかった。
その時だ翔ちゃんと出会ったのもあの病室で弾いてくれたヴァイオリンは私が聴いてきたどのヴァイオリニストよりも遥かに綺麗な音だった。
初めて恋をしってやる気になった時には両親は私には目を向けてくれなくなった弟ばかりを可愛がるようになったまるで私は居ないかの様に扱われる。

ああ、やっと荷が降りたかもって思った瞬間涙が溢れてきたのを今でも鮮明に覚えてるよ。
弟のレッスンは私より甘やかされてやっていたまぁ私が出来なくて弟が出来ていたからだけど悔しかったよあの頃なんで弟には怒らないのか不思議で憎くて堪らなかった。

中学生に入った頃ギターに出会った。
最初は音とかデザインがかっこいいって理由で始めたんだけどピアノのより楽しく夢中になった。

親に感謝しているのは音楽センスに優れているのと産んでくれたことだけ。



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