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「下手くそなのによく人前で歌えますねぇ?僕だったら恥ずかしくて学校来れないよ先輩…才能ないんだから辞めた方がいいよ。歌」
違う言いたいのはこんなことじゃないっこんなことじゃないのに…素直になれない自分が勝手に喋り出す。

先輩を見ると今にも泣きそうな顔で僕を睨みつけて屋上から飛び出していく。
ごめん…ごめんなさい先輩っ!
謝っても許されないことをしたんだ僕はっ!

あれから一ヶ月先輩の顔を見る事はなかった。
僕は先輩のお陰でなりたいと思ったアイドルになっていて忙しい時も疲れた時も思うことは一つ

先輩に会いたい。
会って謝って今すぐ告白したいそんな事は許されないだろうけど僕にとっての初恋を綺麗に終わらせたいんだ。
僕が傷ついてもいいただ純粋に先輩の笑顔が見たい。

まさかあんなところで再会するとは思っていなかったあの頃より先輩は少し明るくなった気がする。
先輩を変えたのは誰ですか?
僕が先輩を変えたかった僕が先輩の苦しみを取り除いてあげたかった誰なの先輩をかえちゃったのは?
知ったのは僕が始めて主演ドラマに出た時だった。

先輩のあんな笑顔見たことないこんな表情僕には見せてくれないしさせたことない。
どんどん先輩の可愛いところを出していったのは"美風藍"だった。
とことんムカつく奴だ透かしてポーカーフェースで先輩のファーストキス奪うし僕が奪えばよかったなのに無自覚で先輩のこと好きだし優しい先輩を笑顔にさせられるのも素直にさせるのもこんないい演技をさせるのも全部美風藍なんだ…僕じゃ叶わない相手。

僕が先輩を傷つけていなかったら先輩の隣には僕が居た?いや、きっと美風藍が隣に居るどんな人生を辿っても先輩の隣に居るのは美風藍だってことを日に日に気づかされる。
悔しい…っ

僕は諦めないよ先輩。
先輩の目に僕が映らないとしても絶対振り向かせてやるんだからっ!
覚悟しててよいつまでも子供のぼくじゃないよ美風藍




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