Love song of stars | ナノ


▽ 


「いいから続けんぞ」
「黒崎さんが私の名前呼んでくれるなら続けてもいいですよ?あたっ!?」
愛音がニヤニヤと悪戯っぽく笑いやがったからムカついて俺は奴のおでこを叩く。
「調子に乗んじゃねぇよ!」
「え…呼んでくれないんですか?」
シュンとして俺を見ると顔が赤くなった。
「っ詩歌…」
恥ずかしさのあまり手で顔を押さえながら小さくて低い声で名前を呼んだ。
「はい…」
「ッ呼んだだけだよばーかっ!」
「な、なんですかっその小学生みたいな反応!」
「うっせ!やるぞ」
「うっ…はい」
急かして演奏の続きを促す。
すげぇ集中力。嶺二がこいつの事気にかけるのもわかる…技術も才能も申し分ない面白え奴だ。…でも一体どこで学んだんだ?
突然曲調が変わり驚いて思わずベースと弾く手が止まり愛音を見た。
ッなんて顔で弾いてやがる…幸せそうで音楽の愛溢れていてまるで…天使…。
俺はそう思った瞬間ハッとする。
「おい!聞こえてねぇのか?」
「えっと…はい?」
詩歌は俺の声に気付き恐る恐る返事をした。

「お前、どこでオーボエ習ったんだ」
「独学です。黒崎さんのベースも独学でしょ?ミュートに癖がありましたし」
「おまっわかんのかよ!?」
「まあ音楽は色々な物を聞いてきたのである程度なら」
俺の癖なんか余程のべーシストしか聴き分け出来ねぇのに…何者なんだ…才能と言い技術と言いまるで12年前に会ったアイツ見たいだ。
知りたいもっと詩歌を知りたい…好奇心が俺の心がそう言っている気がする。

「休憩。おい、ここ座れ」
床に座り俺の隣を叩き座るように言うと戸惑いながらちょこんと体育座りをする詩歌。
「あ、喉乾いたので何か飲み物取ってきますよ。何がいいですか?」
「…コーラ」
小さな声で言うと詩歌はわかりました!と言って小走りで飲み物を取りに行った。
5分ぐらいで戻ってきてコーラを俺に差し出す。

「はー!うめぇ」
「ふふ、黒崎さんおじさん臭い」
「うるせぇ!本当はビール飲みてぇけど真昼間から揉む訳にいかねぇだろ」
それもっそかと呟きまだ少し笑ってる。
確かにコイツから見たら俺はおっさんかもしんねぇけどこう見えてまだ20代前半だ腹が立ったから詩歌の頬っぺたを思い切りつまむ。
「ひぃひゃいっ!ひひゃいれふろはひひゃん!」
「あ?俺に舐めたこと言ったお仕置きだ…プックハハハ!なんだてめぇのその間抜けなつらっ」
抓った時の詩歌の顔があまりに面白くてつい笑ってしまった。









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