Love song of stars | ナノ


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スタジオに入りスタッフの皆が私を注目する一気に緊張が走った。
「あ、今日はよっろしくおねがいします!」
深々と頭を下げてセットへと向かう。

「そんなに急いだら転ぶよ。慣れてないんでしょその靴」
「わ、美風君っ」
「ほら、手貸してあげる」
こうやって改めて見ると美風君カッコイイなぁ…さっきは急いでたから見てなかったけどなんか恥ずかしい。
「さ、急いで!始めるよ」
カメラマンさんが私たちに声を掛ける。
てかどうしたらいいの!?よくよく考えればポーズとかどうしたらいいかわからない!!
「大丈夫。僕に任せて」
ボソリと私の耳元で呟き握られていた手の力が強く握られた。
シャッター音が鳴ると美風君のスイッチが入り次々とポーズを決めて行く。
その姿に私は身を任せるしか無かった。


「よーしっオッケー!じゃあ最後に抱きあってキスする振りしてねぇ」
だだだだだきあって!?キッスゥ!?
「ちょっとごめん」
私を引き寄せて抱き締めて顔の距離が近づき美風君の吐息が鼻にかかる。
近いっ近すぎるっ!
目を思い切り瞑るとおでこに柔らかい感触が当たるとシャッター音と共にそれが離れた。
「……ッ!」
目を開けるて自分の額をを手で押さえて状況を理解が理解出来ない。
なにこれなんか変だ。胸がドキドキして苦しいっ!
「おつかれー!これで終わりだよ」
「お疲れ様です色々ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「いいよ、いいよ今までで撮った中で一番良かったし」
「ありがとうございます!ではお先に失礼します!」
美風君は私の手を握ってそのまま一緒にスタジオから出て行き楽屋へと戻る。

「ちょちょちょ!なんで振りじゃなかったの!?聞いてないっ」
「当たり前じゃんアドリブだもん。それにさっき言ったでしょこっちの方がリアリティでるって」
「で、でも私ファーストキスだったのにッ」
「ファーストキス?…ああ、初めて人とキスするって…ッ」
美風君の顔が急に赤くなるさっきまではいつものポーカフェイスだったのに。
「ご、ごめんッなしなしノーカウント!」
「う…ん…」
そんなに嫌だったかな…私は驚いただけでそんなに嫌じゃなかったり…して…。
私の中で何かが弾けだした気がした。





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