Love song of stars | ナノ


▽ 


美風君のいつも冷たい言葉が今日はやけに心をえぐった。
人に信用されてないのは慣れているはずなのに…ッああ、そうかいつの間にか人を信用しすぎていたんだ私は。
やっぱり人を信用しちゃいけないんだ…だって信用した分人は裏切るでしょ?あの時の帝みたいにまた裏切られたんだ…一番裏切られたくなかった美風君に。
流れ落ちる涙を腕で拭いながら走り少しドアが開いていた場所に身を潜めるかのように隠れる。
色々な物があり大きな段ボールの後ろにもたれかかり体育座りをして泣きやむのを待つ。
10分位経つと人の話し声が近づいてきたので息を潜める。

「おい、誰だよ電気つけっぱなしにしたのは!…ったく仕方ねぇな」
ドアが閉まりいきなり視界が暗闇になると幼いころの恐怖が甦える。
「はぁッはぁッ…だ、出してッ…お母さんッ…お願いッ出してよぉぉッ」
苦しくなる胸を押さえながらその場に倒れ込み荒くなる息使いと冷やりと体中に伝う汗。
な、治ったんじゃッ無かったの?…先生はそう言ってたのにッく、苦しいッ誰か助けて…ッ!!!
意識が朦朧とする中ドアが勢いよく開き部屋に明石が差し込む。

「はぁッはぁッお、かあ…さんッちゃんと弾くから…ッここから、だッしてぇ…」
「ちょっと詩歌!?」
あれ…お母さんじゃない誰?
「はぁッは、や、く電気ッ」
誰かわからないが電気を早く点けてもらうことを指示して明かりが部屋を灯す。
ようやく人物が解った美風君だ。
「詩歌なんで…こんなに苦しそうなの?」
「はぁッはぁッ…ふーッ…ッご、めんッ」
美風君は私を見ると強く抱き締める。
「なんで詩歌が謝るの?悪いのは僕の方だよ。ごめん…」
「はぁッはぁッ…み、かぜッくん、痛いッはぁッはッな、し、て」
まだ落ち着かない呼吸で懸命に話すとさらに抱き締める力が強くなる。
「いやだ。君が落ち着くまでこうしている」
というと私の呼吸が次第に落ち着きを取り戻す。
不思議な気分だ暖かい…こうやって抱き締められるのは初めて落ち着く。




[6/9]

prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -