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※色付き文と、本編は繋がってるようで繋がってない感じ。小ネタとお話をごっちゃにしたようなものなので矛盾などには目を瞑ってあげてください。 「さーって新企画!乱菊の何でも相談室のコーナーよ!」 「じゃあさっそく最初のお便り読んでいきたい思いまーす」 「あんた自己紹介とかそういうのいいの?」 「わたしが誰かは皆様のご想像にお任せします」 相談者:妹のほうですがなにかさん 付き合っている男の子がいます。とても優しくて頼りになる素敵な人です。そんな彼に日頃の感謝の気持ちを伝えたいのですが、彼が喜ぶことって何をしたらいいのでしょうか? 「…ほぉ」 「恋する乙女からの質問ね!妹のほうですがなにかさん…って、ペンネーム長すぎよ!言いづらい!」 「そこ!?そこは気にしないで相談に答えてください!」 「彼を喜ばせたいけど何をしたらいいか解らないってことでしょ?」 「健気な彼女さんですよね」 「そんなの簡単よ!まず彼の部屋に行きます。そして彼が座ってる上に座ります」 「ホワッツ!?上にって押し倒すってことっすか姉さん」 「それもありだけど…膝の上ってことよ」 「ああ、びっくりした…まだお昼ですからね子供達が起きてる時間ですからね、危ない危ない」 「危ないのはあんたの頭の中!」 「まあまあ続き、続きをどうぞ」 「できればイスかベッドの淵に座ってるのが好ましいわ」 「細かいですね」 「それから背中は彼に向けないこと。あくまで横向きよ」 「横向きと言いますと?」 「膝の上にこう座るの」 「あの姉さんこれ一応ラジオって設定があるみたいなんで!妹のほうですがなにかさんには見えてないんで!」 「とりあえず横よ!横!ここ重要だからね」 「彼の膝をイスのようにして座れってことですね。えーっと左足に座るとしたら彼のお腹が右側にある感じです…お願い伝わって!」 「そしたら、彼の胸板に頭を預けます」 「ほうほう!」 「しばらくしたらゆっくり顔をあげて彼の顔を覗けば、彼の心はこれ以上ないくらい喜びに満ちるわ!もうイチコロよ!」 「ほんとかよ!」 「本当よ、百戦錬磨のあたしを信じることがポイントよっ」 「だそうです!是非お試しあれですよ!」 相談者:かき氷さん 部下が仕事してくれません。どうしたらいいでしょうか。 「あらぁ大変ねー!下の人がちゃんとしないと上の人は困るわよね!」 「(あんたが言うなよ…?)」 「そんな部下は、減給の刑にしちゃいましょう。それかクビね」 「あんた容赦ねえな?!」 「ちょっと脅かしてやればいーのよ!最初の一発目が大事よ!」 「かき氷さん、頑張ってくださいねー!」 相談者:目薬花 上司や同僚から人一倍頑張っているのに、何故か一番の暇人だと思われているようなのですがどうしたらいいでしょう。 僕が白鳥のように美しいがためなのでしょうか。暇人に見えて影で必死でかんばっているのに…どうしたら報われるでしょうか…? 美しすぎるのも罪ですよね…? 「知らないわよー!どーせこれ弓親でしょー?」 「ちょ、ちょちょ乱菊さん!そういうプライバシーに関わる発言はやめてください!例え本当に弓親さんからのお便りだったとしてもNGですって」 「目薬花って別名狐の孫と呼ばれるの」 「キツネ…?」 「花の名前よ。花言葉は可憐美の極致…」 「……(弓親さんっぽい…)」 「ってわけで!今回はこれでおしまーい!」 「え、ちょ目薬花さんの相談まだ答えてな…え、ちょ乱菊さん?乱菊さーん!待って!まだちゃんとしめてなっ!」 「あそこのお饅頭3時までに買いに行かないと売り切れちゃうのよね〜」 「おいぃぃぃ待てーい!」 何度も訪れていて親しみを覚えた場所なはずなのに、今はお化け屋敷にでも入ってしまったかのように緊張が全身を包んでいた。 これから自分が起こすであろう行動にいささかの不安と羞恥が混ざり合い余計に頭を混乱させた。 先日、朽木さんの勧めで投稿した相談がラジオで読まれたのだ。その内容というのが自分で思い出すのも恥ずかしいのだが、日頃私を支えてくれている黒崎くんへ何かしてあげたいと思ったのだ。いつも私を 笑顔にしてくれる黒崎くんに今度は私が彼を笑顔にしたいと思った。彼を喜ばせたい喜んだ顔が見たかったのだ。そう思ったものの何をしたらいいのか解らず、思わず投稿してしまったというわけだ。 ペンネームでいいし直接顔を互いに見るわけではないので気軽に相談できると思ったのも今回投稿した理由の一つである。 読んでもらったのはいいが、返ってきた答えが私にとってスーパーハイハードルだったのだ。それでも彼女の言葉を信じて行動しようと決めた。他に何も思いつかなかったってのもあるが。 本当にこれで喜んで貰えるのか不安でしかたがないのだが、この作戦のポイントは彼女の言葉を信じることらしいので信じる他ない。 そして早速やってきたチャンスだった。まあ普段からよく足を運ぶ場所であるのでなんら特別というわけでもない。…はずなのに決行日だと思うと、自分が彼女の言っていた行動を起こすんだということを思い出 すと足がすくんだ。初めて来たときのような感覚。いつもは黒崎くんの部屋落ち着くなぁなんて思っていたりするのだが、今日は何を考えてもふわりと香る黒崎くんの匂いにも落ち着きを取り戻すことは出来なか った。大好きな黒崎くんの香る匂いに落ち着くどころか逆にドキドキが加速する。うわあうわあもう何かこの場から消えたいいいいいい! 「大丈夫か?」 「え、うん、大丈夫だよ…?」 大丈夫なわけないじゃんんん!今にも口から心臓飛び出してグロテスクな死に方しそうだよ!! カチンコチンなんて効果音がしそうな動きで黒崎くんが座っている方へ近づく。 「何だ?ロボットダンス?」 「んなわけないじゃないですか!ダンスじゃないですから」 「ああそうなの」 ダメだ!このまま作戦を実行することなんてできない!!!しばらく気を紛らわせて……いやとにかく落ち着こう。黒崎くんはその後だ…深呼吸して…深呼吸して…そうだ勉強しよう。 ベッドに腰掛けた黒崎くんは作戦でいうとかなり理想的な位置にいて今しかない!という声が聞こえてきそうだが、もしも今作戦を実行してしまったら今しかないどころか今すらなくなるだろう。まあベッドに腰掛 けるくらい珍しいことでもないからな、うん。辛抱強く待っていれば。いやそんなことより勉強だよ。私は一旦黒崎くんという存在をこの場でシャットアウトしなければいけないのだ。 ノートと参考書をテーブルの上に広げる。それを見た黒崎くんは「真面目だなあ」なんて呟きながら机の上に置いてあった雑誌を手にとった。 とりあえずうるさかった心臓が落ち着きを取り戻してくれたのはよかった。 「そこ」 「ん…?」 「手止まってるけど」 「うん、黒崎くん解る?」 手が止まっていたのを黒崎くんに見られてしまった。黒崎くんは読んでいた雑誌を閉じて私の隣まできてから参考書の中の問題を覗いた。 「う、わあああああ」 「なっ何だよ!」 「…いや、解らない問題があったことが悔しくて?」 「は…?」 顔近いし!あれなんでかな?なんか黒崎くんに近づかれたらもうなんかもう爆発しそうになる!爆死しそうだ!心臓か?頭か?爆発しそうなのはどっちだ?どっちもだろ!もう無理もう無理って! いやでもでもでも、顔が近いだけでこんなに顔が赤くなるんじゃ作戦なんて結構できないよ! 「ほら、座れって」 「は、はい」 「ここはこれを…」 細かく説明してくれる黒崎くんの声が遠く聞こえる。すぐそばにいるのに、遠くに聞こえる。集中できない…。 「おい、ちゃんと聞いてんのか?」 「聞いてない…」 「聞けよ!素直だな!」 「もう無理だ!」 「えっ無理って…何だよ」 「黒崎くんそこ座って!」 「なん、」 「いいからお願い!」 黒崎くんがそばにいちゃ作戦の事が頭にちらついて気になって気になってしょうがない!もうだめだもう無理だ。強引に黒崎くんをベッドへ座らせる。 これ以上ないってくらい心臓が早鐘を打つがここまで来たのだもう引き返せない。困惑の色を見せる黒崎くんの顔をじいと見つめ返す。息ができなくなりそうだ。呼吸はちゃんと出来てるはずなのに息苦しい。 「い、いきます…っ」 黒崎くんに聞こえてしまったかは不明だが、自分に向けて合図を出す。ええいこうなったらやったもん勝ち精神だ どうにでもなれっ!この上なく恥ずかしいがこれで黒崎くんが喜んでくれるなら本望だ幸せだ。黒 崎くんに喜んでもらいたいんだ。本当にこんなんで喜んでくれるのか?そんな疑いはこの際忘れてしまおう。 ドクンドクンと自分の心臓の音が聞こえてきそうだ。 黒崎くんが小さく私の名を不安気に呼んだ。 「…………」 「…………」 「……っ…、」 「…え、ちょ…え…?」 黒崎くんの太ももの上に腰を下ろし自分の膝の上で両手で拳を作る。固く握っているわけでもないのに震えてしまう。自分の膝下から目が中々離れてくれなかったが、ゆっくりと頭を黒崎くんの胸板に預けて みた。これだけでも恥ずかしくて死にそうなのにここから黒崎くんの顔を覗き込まなきゃいけないなんて…無理だ…これが私の精一杯だ…今すぐ死にたい。あ、ていうか私の体重で黒崎くんの脚折れたりしな いよね?てかこれ喜んでもらえてるの?何だ急にこいつおもてーよとか思われてない?気になる…黒崎くんが何を思ったか知りたいけど怖くて顔があげられない。目が合った瞬間が最後私の人生は幕を閉じ てしまうかもしれない。それ以前に緊張がピーク時なのか、体がかちんこちんに固まってしまって顔を動かす余裕すらない。私の視線は目の前の白い壁に縫い付けられている。視線すら動かせない私がどうし て黒崎くんの方へ顔を向けられたというのだ。 お互い無言が続く。頭がクラクラしてきた…酸欠かな…んなわけないでしょ私はいよいよダメかもしれない。そんな中視界に黒崎くんの手が入ってきた。ぐ、ぐ、ぐ、とそれこそ部屋に入った時の私のようなロボッ トのような動きだ。その手は私の目の前約30センチ程の距離を残して止まった。恐る恐る黒崎くんの顔を見る。機械に油をさしたみたいに今度は何に抵抗されるでもなく自然と頭を持ち上げることができた。 「く…、」 「…どういう、」 「えっ」 黒崎くんは私が顔をあげた途端顔を横にそらし、先ほどまで私が見つめていた白い壁の方を同じように見ていた。 そして黒崎くんが低い声で問う。咄嗟にパッと顔をうつむかせた。羞恥心がピークを迎えたので目をかたく瞑る。うううううこの体制恥ずかしすぎる耐えられない…! 「どういうつもりだよ…」 びくり、小さくだけど肩がはねる。どういうつもり……? あまり深く考えずともそんなもの答えは出ている。答えが出ていた上で私は行動に移しているのだ。 考えるとすれば、黒崎くんは喜んでくれたか喜んでくれなかったかだ。どういうつもり、そう問うた彼は怒ったのだろうか喜ぶという感情とは逆の気持ちになったのだろうか。 「えっと…く、ろさきくんに喜んでもらおうと思って?」 「…………」 「こうしたら黒崎くんが喜ぶと、教えてもらいまして…」 「…………」 「嬉しくなかった、ですか……」 何も言わずに聞いてくれた黒崎くんだけど、もしかしたら返事に困っただけなのかもしれない。俺はそんなことじゃ喜ばないんだけど喜んだ振りしてやらなきゃ的なことを思われてないといいけど。 いや黒崎くん優しいからそんなこと思わないよね…いや優しいからこそ喜んだ振りしてくれるかな。いや振りとかされたらマジ泣いてしまうよ私ないてしまいますよ黒崎くん。 頑張ったんだけどな、恥ずかしかったんだけどな、失敗だったかな。 もうだめだ、と思い立ち上がろうとしたところで私の目の前で止められていた手で抱き止められる。両手で強く抱きしめられたせいで顔が黒崎くんの胸板にめり込むかと思った。 「嬉しくねーわけねぇだろ」 「ほ、ほんと?ほんとに嬉しい?」 「………」 黒崎くんの腕から力が抜けたのを感じそのまま顔を胸板から離して、黒崎くんを見る。顔が真っ赤になっていた。 そっと、両手で黒崎くんの頬を包む。 「ほっぺた熱い」 「うっせーよ」 「ははっ真っ赤」 「うるせーって」 頬に添えた手に私のものより一回りほど大きい黒崎くんの手が重ねられる。嬉しくて、笑うのと同時に涙が目尻に溜まった。安堵して、緊張の糸から開放されたようだ。達成感が胸の中に広がって私まで嬉し くなった。よかった。 「邪魔だなとか、重いとか思わなかったですか?」 「(重いとか言ったら相当凹むくせになぁ…)別に、」 「どうして喜んでくれたの?」 「はっ!?」 「だだだってここに座っただけだし、こうしたら黒崎くんは喜んでくれるって教えてもらったんだけど…何でかなって」 「つーか誰にそんなこと聞いたんだよ」 「乱菊さん」 「いつの間にッ…!」 「すっごく恥ずかしかったけど、喜んでもらえたからよかった!」 そこで、あっと思い出す。いつまで膝の上座ってんだ私…! 「ご、ごめん、いつまでも……お、降りますね」 「ん、」 「わっ」 立ち上がろうとした私の腰に黒崎くんの腕が絡む。え、え、えっ? 「喜ばないわけねぇよ」 「え…」 「可愛すぎんだよチクショウ」 腕に力が込められて黒崎くんとの距離が微妙に縮む。そのまま黒崎くんの頭が肩口に預けられた。 「そんなことされて我慢できっかよ…」 「え…?なんて…」 「何もねえよ」 「…ひゃっ、!?く、黒崎くん!どこさわっ…!」 「あ、ワリ」 魅力的な太ももだったので つい 無意識に伸びる |