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やふううううううい!万歳をしながら部室へ駆け込むとあらまっ!上半身裸の男の子達が一斉に私の方を見た。あなたたちの裸にはこれっぽっちも欲情しないし興味ないし価値を見出せないけど、その中に一人だけゴールデンに輝くオーラを持った裸体の人物がいた。 「いやん蔵ノ介お着替え中だったの?」 「こら!ちゃんとノックせなダメやろー、みんな着替え中やで」 …………なーんてやりとりを妄想しながら静かに部室のドアノブを回した。 中に入ると中には小春ちゃん一氏と忍足、白石の4人が残っていた。今日は実は記念日だったりして。部活終わるまで待ってるから今日は一緒に帰りたいという私のわがままで残っていてもらっていたのだ。 白石は今日の日付を覚えているのだろうか。まったくもっていつもと変わりない態度でしたけど、なんて若干の心配と期待をしても仕方がない。記念日を気にする人と気にしない人というのは個人の自由だからね。 「名前ちゃんやないのー!」 「こ、こんにちは」 「遅くてごめんなー!もうちょっとで終わるからそこでまっとって」 「はーい」 白石はなにやらファイルを広げて何か作業をしているようなのでその辺に座ってようと思ったら、傍にあるソファに座っている小春ちゃんに呼ばれた。のでお隣にお邪魔させてもらった。小春ちゃんの逆となりには一氏が座っていて、なんか不貞腐れたような顔をしていた。もしかしなくても私邪魔者ですよねー? ごめんね、一氏と謝ってみる。別に、某エリカ様の声真似で返されてしまった。いやそこにネタ仕込む意味…。 「でー、どーなの蔵リンとはーうまくいってるん?」 すごく楽しそうな顔で小春ちゃんがガールズ(?)トークを始め出した。 「や、まあ…うん順調、かな」 「そうなん、ええなぁもう名前ちゃんったら顔赤くしちゃってかわうぃー!」 「こ、小春ちゃんはどうなの?順調?…その、一氏と」 「アタシのことはええねんええねん!それよりー」 一氏さりげなくスルーされたよ!めっちゃ悲しそうな顔しながらこっち見てるよ!会話に入れてあげたかったのに、ごめん一氏失敗したよ! ちょこちょこ一氏を会話の輪に入れてあげようと試みたのだけれど、ことごとく笑顔の小春ちゃんにかわされてしまった。一氏のライフはもう限りなく0に近いはず…ご、ごめん役に立てずに…!小春ちゃんとの恋バナに花を咲かせつつ一氏に同情していたら「待たせてごめんなー」といつの間にか制服姿の白石が目の前に立っていた。 「あ、小春」 「なぁに蔵リン」 「ちょっと頼むわ」 「あら写真?」 「おん。記念に」 携帯を小春ちゃんに渡しながら記念に撮ってって…え、記念日覚えててくれたんですか?! 「今日はたくさん二人の写真とっとこな!」 笑顔がまぶしいです白石さん! 小春ちゃんがニヤニヤしながらええなーええなー言っている。恥ずかしい気もするなぁ…ま、いっか。部活後の白石との記念写真だ。 「じゃ、いくわよー」 「あ、ちょお待ち」 「ん?」 「前髪おかしなっとる、直したるからこっち向き」 「んー」 白石が小春ちゃんにごめんなーと声をかける。それに小春ちゃんはウィンクで答えた。それを目撃した一氏が何故かダメージを受けソファに沈んだ。 白石が私の前髪を掬いかきあげる。 「ほないくでー」 そう言っている途中にシャッター音が聞こえたのは気のせいですか。いや気のせいじゃないよね。え、白石さんめっちゃしてやったりの笑顔なんですけど。 「まっかわいい!」 「完璧なデコちゅーやったやろ」 「なっなっなぁぁあっ!?」 「小春ぅ〜俺らもあれやろうや」 「ええでユウくん!いつでもきてぇぇん」 「って小春…かきあげる髪がないやんけ!」 「そうやった!」 「完璧ちゃうなぁおたくら」 いやいやそのままデコちゅーしたら完璧なんじゃないですか? なんてツッコミは入れようと口を開いた瞬間恥ずかしさが込み上げてきて喉で止まった。ツッコミと一緒に口から心臓が出たりしたら大変なので落ち着くまでおとなしくしておきたいと思います。と、とりあえず一氏が元気になったからいいとしよう。いいとしよう!! 「待ちうけにするわ」 「そ、それはやめてください!」 「かわええなぁ。可愛いから大丈夫やろ」 「ちがうよ、大丈夫ちがうよ!」 ゆっくり堪能 /葬星 |