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放課後、今日はバイトも買い物する予定もないのでまっすぐ帰ろうと思って校門を出た。ちなみに黒崎君は朽木さんが引っ張っていってしまったのでいない。あの二人ほんと仲いいよなあ(本人たちは否定してたけど) 校門を出るとよく見知った女の子2人がこちらに駆け寄ってきた。 「おなまえちゃん!」 声を揃えて呼ぶ2人がかわいくて自然と頬が緩む。夏梨ちゃんと遊子ちゃんがランドセルを背負いながら走ってくる。 「2人とも今帰り?」 「うん!迎えきたんだ!」 「あ、黒崎君なら先に帰っちゃったけど…」 「ちがくておなまえちゃんを迎えに来たの!」 「わ、私ですか…!」 笑顔で嬉しいこと言ってくれる2人に思わず涙が…! 私を迎えに来たって…! 「朝ね、今日は鍋にしようって話してたんだけど」 「そしたらヒゲがおなまえちゃん誘って来いってしつこいんだ!」 「お誘いに来たの!」 「一心さんにお礼言わなくちゃ」 2人の頭をなでるとまた嬉しそうに笑う。あー可愛いなこの子たち! 黒崎君にはもったいないよね、ぜひ私の妹になってもらいたいものです。黒崎君ばっかずるいなぁもう。 鍋って…誰かと一緒に鍋するのって初めてかもしれない。なんかすごく楽しみだ。 あれ、でも… 「黒崎君そんなこと言ってなかったけどなぁ」 ぼそっと口にした言葉にすかさず夏梨ちゃんが「だって一兄には内緒だもん」てさらっと答えてくれた。 「お兄ちゃんに言ったら絶対おなまえちゃんお兄ちゃんと帰って来るでしょ?」 「え、いや、そんなことはないけ、ど…(家帰るときもあるぞー)」 「一兄ばっかずるいじゃん!」 そう言うが早いか両手を夏梨ちゃんにつかまれて走り出される。わけがわからないまま走らされてついたのはスーパーの前だった。これでも体力には自信がある方なので私は平気だったんだけど、遊子ちゃんが軽く息を切らしていた。そりゃこんだけ走ればなあ。 「夏梨ちゃんは平気?」 「あたしはなんとも…」 「遊子ちゃん大丈夫?」 「う、うん…!」 「遊子さー、あんたそうやって無理してスピード出すことなかったんだって」 「いいの! 楽しかったから」 「(楽しいのか? あれ…)」 そんなこんなでスーパーの中へ3人で入る。夏梨ちゃんが籠を持つと言ってくれたけど「黒崎君みたいなことしなくていいんだよ」って、断っておいた。もちろん冗談だ。「一兄でも荷物もちってすんの?」と素直に返されてしまったわけだけど。とりあえず籠はこの私、おなまえが持ちます、ということで落ち着く。 遊子ちゃんが豆腐とねぎなどを籠に入れていく。ところで、何鍋にするんだろう? 私鍋っていったらすき焼きかしゃぶしゃぶしか知らないんだけどなあ。すき焼きはやったこともない。途中で夏梨ちゃんが籠に入れたキムチ鍋の素と書かれた箱を入れたので、今晩はキムチ鍋だと知る。籠の中を覗いた遊子ちゃんが、入れたばかりのキムチの素の箱をすぐに棚に戻す。 「なにすんだよー」と夏梨ちゃんの不満の声が聞こえた。 「キムチの素はすっぱくなっちゃうからだめ!」 そう言ってキムチ(普通のね)を2つ籠に入れる。遊子ちゃんってすごい。 「はいはい」 夏梨ちゃんが、うどん(鍋の後に使うらしい)を片手にやれやれと言った感じに首をふっていた。 同時刻*黒崎家 「ったく、何だよ!いきなり引っ張ってきやがって!」 「ちょっとな、会わせたい方がいて」 「はあ?」 「あ、やっと帰ってきたぁー! 遅いじゃないの、待ちくたびれたんだから!」 「いいぃぃぃぃ!?」 「てーか久しぶりねー!」 「や、え、ちょ、おいルキア! 聞いてねえぞこんなん!」 「急だったものでな、言う機会がなかったのだ」 「お前今日おなまえと楽しそうに昼食ってたじゃねーか!」 「貴様を優先させるのが癪だっただけだ」 「何だとテメー!」 「男の嫉妬は醜いぜ一護ォォッ! ちったぁオレを見習って大人になりな!」 「ったく! 付き合ってらんねーよ。まずは説明してくれ」 「しようとしてるのをお前が邪魔したのではないか!」 「はいはい、すんませんねー。さっさと言えよ」 「うむ、まあ少々気に食わないがよしとしよう。実はな、」 白哉迎えこねーかなぁ 居候の朽木さん |