黒曜石 | ナノ
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期末前、ケイゴと水色にチャドとそれから石田で勉強会を開くことにした(テスト勉強助けてくださいいいいい! とかケイゴが泣き付いてきたせいだ)。ちなみに俺の家で。

「勉強会をするのは勝手だが、何で僕まで参加しないといけないんだ」
「勉強できる奴いねーと勉強できねえだろうが」
「そうそう! 折角学年トップが同じクラスにいるんだからさー」
「しかも何で黒崎の家でなんか…!」
「そんなムキになんなって」
「ムキになんてなってない!」

珍しく石田も加わって、さらに賑やかになったたころで家のドアを開ける。

「いぃぃぃいいぃぃやぁぁあああぁ!!」

中に入った途端聞こえてきた悲鳴に顔を見合わせた。
なんだ?!

「なあ…今の声っておなまえちゃんのに似てなかった?」
「あんな大声出すなんて珍しいねー」

唖然としている中、奥から黒い物体が走ってくるのが見えた。あ、あれってやっぱおなまえじゃねえ? 水色が「おなまえさんだー」と言ったのが聞こえた。やっぱそうだよな。

「おなまえ?!」
「うおおお、くくく黒崎君ご一行!」

急ブレーキをかけたせいか、奥から走ってきたおなまえが俺達の目の前でコケた。それをすんのところで止めてやった。ていうか、え、おなまえさんのかっこうがひどくおかしいことになってるんですけど。なんていうかメイド服っぽいけどそうじゃなくてなんていうか黒を基調にしたワンピースっつーかドレスっぽいっつーか、とりあえずフリフリ。何がどうなってこうなったかのか分からないが、とりあえずおなまえは涙目だった。

「来てたんだな、ってどうしたんだ そのカッコ…」
「お人形さんみたいで可愛いね」
「ツインテール似合ってますううううう!!!」
「ゆ、ゆ、ゆゆ、」
「ゆ?」
「…遊子ちゃんが…っ!」
「………奴か」
「わ、わわ、わた、私のためにお洋服を作ってくれたとかで、…!」
「そしたらそうなったと」

遊子の着せ替え人形にされちまったってわけか。かわいそうに。

「こそばゆいとです…!」
「こそばゆい って…」

両手で顔を覆いながら頭をぶんぶん振ってる姿が、まあなんていうか可愛かった。あ、ツインテール似合うなコイツ。いつも髪おろしてるから新鮮。

「おなまえさん」
「こ、小島君」
「隠さないでよ、折角可愛いんだから」
「ひいいい! 何写真撮ろうとしてんですか!」
「いやあ記念に」
「記念ってなんの…っ、?!」
「うおっ!」

携帯を構えていた水色とおなまえの目の前にいた俺を押し退けてチャドがおなまえの目の前に立って持ち上げてみせた。はああああ!!?

「や、やばい…!」
「可愛いものに目がないチャドが…!」
「おなまえちゃんに興味持っちゃったよー!!」
「チャドが発動しちゃった!」
「ああぁー、おなまえが…」

ガキが高い高いされてるみてーだな。ブランブラン揺らされてるおなまえが驚きで硬直していた。

「ああああ、おなまえちゃんが!」
「本物の人形に…っ!」
「あー、何か日本人形とフランス人形が混ざったような」
「ちょ、ほんとに人形化しちゃってるんですけど?!」
「瞬き!瞬きしてない!」
「ちゃ、チャド! 気持ちはわかるけど!」
「チャドの気持ちは分かったら! おろせ! とりあえずおなまえおろせ!」

正気を取り戻したチャドがゆっくりおなまえをおろした。

「…すまない」
「いえ、こちらこそ、なんか、すみません」
「なんでお前が謝ってん、だぁあッ?!」

チャドの時と同じように、また押し退けられた。な、なんで俺ばっか…! しかも今度はチャドの時よりも強めに押され、壁とキスするはめになった。ち、ちくしょう!

「もー! おなまえちゃん! まだ終わってないのに…、あれ、お兄ちゃんおかえりなさい」
「お、おう…!」

ずるずると床に崩れ落ちる俺をものともせずに、寧ろめっちゃスルーでアウトオブ眼中で石田が俺を踏み付けながらおなまえと遊子に近づいた。アイツ後で覚えてろよ!

「一護はやくもボロボロだね」
「……うるせぇ」

「これを作ったのは君かい?」
「(い、石田君?!)」
「そうですけど…」
「いい出来だね、素晴らしいよ」
「ありがとうございます!」

「だけど、僕だったら胸のリボンの所にもレースをあしらったな。それから、スカートの裾から出てるレースはピンクにしたね。黒に白はとてもよく映えるけどね、ありきたり過ぎる。井上さんにはもうちょっと色のあるものでも充分綺麗に見せられるよ。それからこの――― 」

石田流の解析はそれから延々と続き、暫くしてやっと石田の口は止まった。あいつってあんなマシンガントークの持ち主だったっけ? 石田が逆光を発しながら眼鏡を押し上げた。さながら、何か反論はあるかい? とでも言っているようだった。

「す、すごい…!」
「さあ、それじゃあ今から修正を加えようか」
「はい!」
「じゃあ井上さんには悪いけど、今すぐ脱いでくれないか」
「え、」
「ちょちょちょちょ、お前ら待てよ!」
「ああ、勿論ここでじゃないよ」
「は、はあ」
「おなまえちゃん早く早くー!」
「ちょ、まっ、えええええ」

「石田ってあんなキャラだったっけ…?」
「恐るべし石田領域…!」
「……ム」
「ていうかおなまえちゃんかわいそうだな」


同感だ。まさか石田が‥‥
まったくもって