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先に水色達を帰らせて数分。俺は未だにおなまえの部屋でお茶を啜っていた。相変わらずおなまえにべったりの加藤君は俺を毛嫌いしているようだった。俺が何をしたっていうんだ。睨み合う加藤君と俺を見ておなまえが苦笑いしながら加藤君の背を撫でる。………ていうか、 「あのよ、やっぱ俺加藤君とか呼びたくねえんだけど」 「でも加藤君は加藤君なんですよ」 加藤君 加藤君 ……加藤君なんてこれ以上恥ずかしくて呼べるか! 加藤君が恥ずかしいわけではなく加藤君と呼ぶ俺が恥ずかしいのだ。何で猫に君付けなんだ。おなまえが加藤君と呼んでもあんまどうって事はない。が、しかしこれが俺だとなんか痛い。どうってことなくない。その旨を伝えてもおなまえは加藤呼びを許してはくれなかった。なんて強情な奴なんだ。変なトコで頑固だ。かくなるうえはこれしかない。俺だっておなまえ並に頑固になる時だってある。 「加藤って呼ばせてください…!」 「く、くく、黒崎君!?」 かくなるうえは土下座で頼むしかない。頭を床に付ければ思った通りおなまえが困惑の声をあげる。迷ってる迷ってる。おなまえはこの後しょうがないなあとか言いながら悔しそうに許可を下すだろう。間違いない。 「わ、わかったから…! ごめんなさい、」 ほらな。おなまえに隠れて小さく笑うと背中に何かが乗った。そのまま背中の上を徘徊してそいつはニャアと鳴いた。加藤か。加藤を抱き上げると思いっきり頬を引っかかれた。おなまえがまた騒ぎ出す。いてえなコノヤロー! 思い切り猫を睨み付ければ向こうも同じく俺を睨みつけた。仲良くしてください、とおなまえが言ったがどうやら俺とコイツは馬が合わないらしい。猫と馬が合うのもどうかと思うが。 ――― それより、加藤以上に気になる事がある。おなまえが何も言わないから本人が知っているかどうかはわからないがこの部屋には何かがある。 もやっとしたものが部屋の角から漂ってくる。結論を出すとしたら気付かない振りをするのが得策だろう。さり気無く探りを入れてみたがおなまえにことごとくかわされた。なんか絶対この部屋に居ただろ。何かが。 もしかして、見えてる? 何ってアレだよ |