×
「で、そのネコを道端で拾ったと」 「電柱の裏です」 「黙れ」 「すみません…!」 「で、おなまえがソイツを飼うと」 「はい」 「‥‥‥‥」 「…あの、お茶のおかわりどうですか?」 「‥‥‥ん」 戸口の前でみんなしてずっこけた後(だからどこのギャグ漫画だ)流れでおなまえの家にお邪魔することになった。家の中に入るのは初めてだな…変な感じだ。女子の部屋なんて滅多に入らないし、もっとごち痰イちゃしてるのかと思ってた。おなまえの部屋(っていうか家)には必要なものしか置いてないようですっきりしていた。おなまえらしいというかなんというか。キッチン以外は生活感のないところがまたおなまえらしい。食べることに全力をかけているといつか言っていたが他の事にはまるで無頓着のようだ。それはそれでどうなんだろう。 ずかずか大人数で押しかけたのにも関わらず(しかもルキアと啓吾の迷惑行為も全く気にしてないようだ)笑顔で迎え入れたおなまえに、コイツ大丈夫かといらぬ心配をしてしまった。セールスとか断れなさそうなタイプ。絶対家に招き入れてセールスマンの口車に乗せられたあげくセールスマンの身の上話とか本気で聞きそうだ。あ、やばいマジでやりそう。新聞勧誘も断れなさそうだな。なんか心配になってきた……… おなまえを囲むようにして座る啓吾とルキアと水色とチャドが次々に加藤君(加藤と呼んだら君まで付けろと注意された。相変わらず変なところで頑固だ)について質問している。まるで尋問だ。おなまえも可哀想に。つーかおなまえネコ飼うのか。それはそれでいいかもしれない。おなまえの側には誰かしら居てやった方がいいと思った。それがネコであれおなまえが抱える孤独の闇ってやつを消してやれる。自分で言っててクサイな。もうちょっと可愛げあるネコだったら文句ねーのに。おなまえには懐いてるようだけど。さっきから一向におなまえ以外に触れさせようとしないネコが生意気でしょうがない。俺に至っては引っかかれた。 おなまえが貼ってくれた絆創膏を見てみる。器用に貼られたそれがなんだかおなまえの優しさの塊みたいで照れた。ていうか自分の思考に照れた。 つーか何で名前が加藤君なんだよ。そこがまず気になる。でも聞かない。案外どうでもいいのかもしれない。おなまえが付けたならわざわざ文句付けるまでもねーし第一俺のネコじゃない。だあああああもう!なんなんだ俺ほんっとわけわかんねえ!啓吾みたいだ!! さっきから自分の思考が変だ。むかつく。キャラじゃねーよったくイライラすんなあ。 幸せそうに笑ってんじゃねえよ 嫉妬ですが何か |