黒曜石 | ナノ
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タオルで身体を拭いてやって、お風呂に入れてやる(かなり嫌がられた)桶の中にお湯を張ってそこに猫を浸からせれば、怯えるように震えだしてしまった。あとちょっとだから我慢しててね、と声を掛けてみても効果なかった。まあそりゃそうかもしれない。そういえば猫って爪あるよね。鋭いの。引っ掻かれるの覚悟で洗ってやる。四苦八苦しながらもなんとか綺麗にした子猫をタオルで包んで抱き上げると、私に向かってにゃあと鳴いた(嫌がられたけど引っ掻かれなかった)

「さっきより白くなったね」

さて、ミルクでも…と猫用の粉ミルクをお湯に溶かしてみたは、いい。そこまではいい。うん、スムーズですよスムーズ。普通に飲めるのかな。ていうか飲むの? 哺乳瓶とか必要? ごちゃごちゃ考えている内に子猫ちゃんがペロペロミルクを飲み始めた。心配無用ですかそうですか。

衝動的に連れてきちゃったけど、今日からこの子も井上家の一員になるんだよ、ね?
我が家の住人…家族かあ。姫ちゃん以外の家族、そう思うと心が暖かくなった。ミルクを飲み終えた猫が擦り寄ってくる。随分と人懐っこい猫だ。猫といえば気まぐれで人にはそう簡単に懐かないものだと思ってたから驚いた。案外そうでもないのかもしれない。

「名前、どうしようかなあ」

子猫のままじゃ可哀想だ。そうだなあぁ…猫…ネコ…ガット、カット…カト、カトー?って…あれ、この子オスじゃん。じゃあ、そうだなあ―――


ネーミングセンスの無さに泣けた。イタリア語で猫はガットというらしい
加藤君にします