黒曜石 | ナノ
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「黒崎君黒崎君黒崎君!黒崎君!」
「何回呼ぶんだオメーは!」

仲直りの後(喧嘩と呼べるような事はしてなかった気がするけど)私は黒崎君へ伝える情報が(朗報?)あることをすっかり忘れていた事を思い出した。

「私ね、中間の順位上がったんだよ!」

じゃっじゃーん!の掛け声と共に中間結果を黒崎君に見せる。

「黒崎君って頭よかったんだねー」
「おま、そういう事サラッと言うな!」
「教え方うまかった。すっごい意外!」
「おなまえお前…なんか、」
「ああごめんね!私今すごい浮かれてるの…!」
「浮かれると毒舌になるんすか」
「すっごく嬉しかったの!」
「おー、えらいえらい」

わしゃわしゃと頭を撫でられる。ああもう髪の毛直したばっかなのに…! 嫌じゃないけど

「おなまえさあ、何かあったか? 先週」
「あったけどー、姫ちゃんとのことだから黒崎君には内緒だよ?」
「俺に言えねーこと?」
「ガールズトークってやつだよ」
「(いつの間にそんな…)…ふーん。まあおなまえがそう言うならいいけど、だ」
「おなまえっさああああああんっ!!」

「「…………」」

「俺は! 俺は…! 寂しかったッスよー!」
「いや、何で居んだよ」
「浅野くん…っ!」
「お前も感動してんじゃねーよ!」
「あれ、仲直りしたの2人とも」
「水色まで…」
「こ、小島くんん…!」
「なんでコイツにまで感動してんだ。ただ携帯いじってるだけじゃねーか!」
「浮かれてるんですって」
「頭 楽しい事になってんな…」
「黒崎君何気に失礼じゃないかな?」
「何気にっていうか、普通に失礼だよ」

「時におなまえさん今日はバイトは?」
「ないです、よ?」
「いよっしゃあ!じゃあじゃあー、皆で焼肉パーティーいこうぜ!」
「なんでだよ!流れ読めねーよ!」
「勿論一護は来なくてもいいんだ! ぜ!」
「誰も行かないとは言ってな、」
「今、行くって言ったよね?言ったな?」
「は?言ってねえよ」
「じゃー決まりな!俺と水色と一護に、おなまえちゃんでしょー、あとはチャドと朽木さんがメンバーでー」
「アイツもくんのか!」
「なんかおなまえさんと喋ってみたいとか言ってたよ?興味があるらしいね」
「(アイツ…!)」
「小島君、小島君。パーティーってなんの?」
「ん?もちろん決まってるでしょう、おなまえさんと一護の仲直りパーティー」
「えええ!」
「なんでそんな大規模なことになってんだよ」
「おなまえさんがいない事は大影響を生んだんだよ。とくにケイゴに」
「浅野君…?」
「俺が何かしたって毎日つっかかってきてたわ」
「ご、ごめんなさい…!」
「謝るくらいなら焼肉たくさん食べてくれた方が嬉しいな。勿論ケイゴのおごりだよ」
「えええ!浅野君に悪い!」
「大丈夫大丈夫、ケイゴだから」

理由になってないという私の意見を華麗にスルーして小島君は浅野君に「異論はないよね?」と確認を取っていた。そういうのを事後報告っていうんじゃないのだろうか。なんというか明らかに後付けですみたいなオーラがひしひしと伝わってきた。本当に私がお呼ばれされてもいいのかな?すっごく申し訳ないような、なんていうか身に余る幸せみないな。嬉しくないはずないのに、素直に喜べないのはきっと浅野君の負担になってしまうからだろう。でもここはみんなの意見を優先させたい。来月分のおこづかいを回せばいいか、なー。そうなると明日予定していた買い物も考え直さなくっちゃ。んーと、最低限のものに絞ろうかな。

みんなと一緒に行くとしたら財布と相談もしなくちゃいけないや。浅野君を頼るなんて最低だよ自分…!小島君に流されちゃいけない! 今月も先月と変わらず…まあ先月よりはマシだけど、生活費がなあ。この前本を買っちゃってもう使える分(金銭面)が危ないかも。明日からお昼はなしかなあ。あ、それから今月電気代心配だなあ…恐るべし夏の気温。そういえば家を出る時にエアコン消したっけか。あ、やばいトイレの電気もつけっぱにしてきちゃったかも。そんな私の考えを察してか黒崎君が助け舟を出してくれた。

「おなまえの分は俺とケイゴと、それから水色で払うから心配すんなって!」

はたして助け舟といえるのだろうか。でも、浅野君や水色君達の行為は素直に嬉しかった。私がいなくなって、悲しんでくれる人がいる。皮肉だけど嬉しかった。ていうか結局私は奢られる感じなんだろうか。

「おなまえさんのためのパーティーだしさあ、甘えられるときは甘えていいんだよ」

小島君がプリプリとちょっと怒ったような顔で言う物だから、何もいえなくなってしまった。お言葉に甘えて…という言葉を聞いた小島君がそこで満足したように笑顔になった。やっぱり癒されるなあ。うう、心苦しいけど、浅野君達がそう言ってくれるなら。

「そーそー! それに今オレらの中でおなまえちゃん太らせようキャンペーンやってんの」
「えええええ! なんですかソレ!」
「またお前等勝手に…おなまえで遊ぶのも大概にしろって」

「ほらおなまえさん細いし」
「食費とかちゃんと払えてるのか心配だし」
「失敬な!前にも言ったけど(あれ黒崎君にだったっけ?)私みんなの2倍は食べてるから平気だよ!」

ああ、確か黒崎君に言ったんだった。まあいいや。私の反論に対して2人は信じられないという顔つきで嘘だーなどと野次を飛ばしてきた。黒崎君は楽しそうに笑っていた。見守っていたといってもいい。財布の紐はかたいけどケチって食べてないわけじゃない。成長期という理由を付けては贅沢させていただいてます。お肉なんて1週間に2回くらい食べてるね! 食べない週もあるけど。最後にお肉食べたのいつだっけ?…あれお肉やっぱそんな食べてないじゃん! それでも、やっぱり小島君よりは、食べてる…と思う! だって小島君の方が小柄だし! なにより小動物っぽいし!

「姫ちゃんよりは軽く食べてるよ、きっと」
「信じられないから実施されてんだろ?」
「信用薄いなあ私…」
「(あ、凹んだ。鬱期モード突入すっか?)」
「申し訳ない気がする…主に浅野君」
「食費浮くしいいんじゃねーの?アイツ等が好きでやってることだし」
「…食費…」
「そこで考えちゃうわけね」
「…………」


心配性な黒崎一行
悪巧み?愛です