黒曜石 | ナノ
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「おなまえちゃーん!」
「…なぁにー?」

教室を出てすぐに姫ちゃんに出会した。

「今から皆で勉強会やるの、だからね今日は帰り遅くなるね!」 
「……、」

皆、と一概にされたのは、黒崎君、石田君と茶渡君に朽木さん。珍しいメンツなだけに吃驚。まさか石田君までいるとは…勉強会に参加するタイプじゃなかったと思うんだけど…。

「うん、解った、じゃ私行くね!
「うん! おなまえちゃん気を付けてね!」

バイバイ、と笑顔で手を振る姫ちゃんに後でね、と返し歩き出す。ちょっと急いでるせいかそっけなかったかな。

「井上ーっ!」

早くしないとバイト遅刻しちゃうや。

「いーのーうーえー」

…姫ちゃん人気だなぁ。

「いっのうえ!」
「うな?!」

腕を掴まれて、反動で後ろに仰け反る。ま、さか…呼ばれてたのって私…?

「く、ろさき君(びっくりした…!)」
「(うな?)お前っ、堂々と無視すんなよな」
「は、や、姫ちゃんを呼んでるものだと…」
「ああ、そっか。井上も井上か」
「うん……?」

納得した表情なのかは知らないけど、ふーんとちょっとキョトンとした顔をした後、何時もの顔…と言っても、この一日しか見てない顔だけど。普段と同じ表情に口元に笑みを置いて。

「じゃあ、また明日な!」
「また、」

って、言ってくれたんだ。また明日、なんて最後に聴いたのが何時だったのかも忘れるくらいに久々で、今の私の心が晴れちゃう程の威力があった。もうミサイル並みの破壊力。

「あ、っありがとう!」
「は? どう、いたしました…?」

ハテナマークを浮かべる彼に私の頬が綻んだ。


何気ない一言がとても嬉い
単純だと思った