×
「ちょっと待とう、おなまえちゃん?」 「なに?」 立ち話もなんだから中へ…と何故か姫ちゃんが仕切って家の中へと入る。部屋の机を挟んで向かい合う形になっていた。気付けば時刻は安売り終了の時間となっていた。だ、大根…!いや、それよりも姫ちゃんだ。怒ってると思ったら今度は焦っているように見える。いつもの倍くらいに意味不明な言葉を連発していることからして相当テンションが上がっているのだろう。妄想の進み具合も上々ときた。「ドミノが…!」 とか「テラヤバス!」 など、脈絡のない単語が続々と発せられる。たまに、姫ちゃんの思考回路がどうなっているのか解析してみたくなる。本当に謎だ。 「…あたしと同じって?」 「だから、姫ちゃんといるみたいな?」 「そ、れって…」 **** まさか黒崎君を家族愛とかそんな目でみてるとか…? ま、まあ日陰で暮らしていたおなまえちゃんが日向に出たのは、黒崎君のおかげなんだろうけど。お母さん、みたいな感じ? いや、お兄ちゃん? あったしすごい事に気付いちゃったよ! 今回はドンピシャだよ! 身内があたししかいないから…求めるのもわかるけど。今の状況って、なんなんだろう…?! 「ま、まあこれからって事もあるしさあ!めげちゃだめさ!って誰がめげるの?!あたし?あたしじゃおかしくない?」 「(やっぱり解析不可かな)」 「ああ! でもっ! これは…ううん、でも…!ハ ッ跳ぶのよあたし! 朝まで踊りつくすのよ!! 違うの、それは、ここは一転即答を…!」 「?? (…姫ちゃん…)」 おなまえちゃんはまだ、気付いていない…これはあたしにすればチャンスかな? でも、えええええ!なんか凄い気になっちゃうよ! 黒崎君が…!え、おなまえちゃん?んえっと、あたし? え? どうしよう、どうするの織姫!どっちみち本末転倒って感じなんじゃ…! あれっていうかあれ? あれええええええ?! ややこしいよおなまえちゃんんんん! 「あたし帰る!うん帰る!」 「う、えええ?(どうしちゃったの姫ちゃん!)」 「アディオスフラメンコ!」 慌しく出て行った姫ちゃんを見送る事も叶わず、バタンと閉まったドアを見詰めながら私は一人呟くのだった。本当になんだったんだろう? 展開についていけない私の頭は考える事を諦め、今晩のこんだてを考え始めるのだった。大根はなし、っと。 「フラメンコ…?」 今後の2人に任せるという事で! アミーゴでは? |