黒曜石 | ナノ
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最近の一護の周りはヘンだ。何がヘンだといわれたら奴の存在自体がヘンだと言いたい…が!ここは敢えて我慢してやらぁ。いやソレより一護の周りに咲いている華がヘンだ。その華を連れている一護がおかしい。だってあの一護が美人さんを連れてんだぜ?ヘンだろう。色々と! そのべっぴんさんのおかげで一護の周りにはピンク色の華が舞っているってわけだ。嗚呼、羨ましい…!どうしてあの仏頂面の面白みもない男にあんな美人が…!もうちょっと歳とったらえっらい美人になるぜきっと。オレのセンサーがビンビンだぜ!! ちょっと胸が残念だが…まぁ悪くはねぇな。まぁまぁってとこか。

そしてその女は今日も奴の部屋にある、ツッコミ専用と裏に書かれたちゃぶ台の前に座ってシャーペン片手に握り締めながら眉根を寄せていた。睨むような視線の先には問題集が広がっている。ここ数日よく見る光景だった。オレンジ頭のガキにはまだ早いくらいマブイ女がそこにいた。オレのタイプだった。べつにオレのタイプだからとかそんなんで一護にダメ出ししているわけじゃねぇ。そんな負け惜しみみてーなことオレは思ってねぇぞコラそこんとこヨロシクゥ!!! それにオレァ隣で目の前に広がっている光景を面白そうに眺めているちょっと危ない感じになっている姐さんにハートを捧げてんだ!! 姐さんに向けた目を、再び押入れの中の開いた隙間から外へ向けた。このオレ様が目移りするくらいストライクの女は熱いと零しながら前髪と長い漆黒の髪を掻きあげた。

時折ハッキリ捉える目が綺麗な女だった。惹かれた理由もそれだった。目が、綺麗だった。前に一護が何よりも黒く澄んでいると嬉しそうに言っていた。ったく何だよそんなことオレにもらしてんじゃねぇよ気持ちワリィ。キャラじゃねーだろ!らしくねぇ!!とその時は鳥肌が立つ勢いでマジで気色悪かった。笑い飛ばしてとび蹴りをこめかみにぶちかましてやった。フェルトと綿の山にされそうになった。必死で謝ってやっとの事で命拾いしたところだった。とにかくだ。普段は長い前髪に隠れてよく見えないその瞳を拝めてオレは幸せだ。嗚呼、綺麗だ。オレの心のオアシスだ。何が悲しくて一護と同じ屋根の下で、奴の妹達に怯えながら、姐さんにこき使われる生活をせにゃならんのだ。オレ様はいわば囚われたプリンセス…いや、プリンスだ。そんな疲れた心を誰が癒すんだ。女だ。そして神々の谷間だ。それさえあればオレは救われるんだ!さぁその神々の谷間に顔を埋めさせてくれ!!!!

姐さんの拳骨が脳天に叩き込まれた。思わずくぐもった声が出てしまったが、運良く一護たちは話に夢中で気付かなかったらしい。(あ、アブネー!!) そう。あの子は一種のダイアモンドだ。磨けばすげー綺麗になる。女を磨くのは男なんだぜ子猫ちゃん!オレの目に狂いはない!口元に手を置き、一護のムッツリ野郎に笑いかけた時の笑顔なんて真っ赤なルビーにも匹敵しそうで怖いぜ。一護のムッツリに向けられたってことを除けば。オレに向けばいいのに。そんな願いを薄暗い押入れの中から姐さんの隣で考えていた。隣で姐さんが「何をしておるのだ一護め…」とか「そこだ!早く押し倒せ」だとか「あのヘタレめ!」(同感だ!)などとぶつぶつ言っている。静かにしてないとバレるっすよ!


突然けたたましく音を立てた伝令神機に、舌打ちをする姐さんをポカンと見上げた
チャンス来たる