黒曜石 | ナノ
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今のままで十分だと思うのは暫く止めようと思う。


「姫ちゃーん?」

朝、学校へ行く時間になっても姫ちゃんが来ない。別に一緒に行く約束なんてしてないけど毎朝姫ちゃんが迎えに来るのが日課になっていたので、何かあったのではと心配になってくる。ちょっと気になったので姫ちゃんの部屋の前で姫ちゃんを呼んでみる、も応答なし。
寝てるのかな? 躊躇ったもののやはり気になるので、勝手ながら合鍵を使い部屋の中へと足を進めた。

「お邪魔しまーす」

小さく伺うように挨拶をする。勿論返事はなかった。というか部屋はものけのからで、玄関にあるはずのローファーがない。

「先に行ったんだ…」

姫ちゃん今日日直だったかな…? いやいやまだ先だったはず。まぁ一人で行きたい時もあるよね。あるいは有沢さんが迎えに来て一緒に行ったとか…。

姉妹でも友達が同じなんてことなくて、姫ちゃんの親友だからといって私とも仲がいいわけじゃない。寧ろ私、有沢さんに嫌われてる気がするんだよなぁ。一個人として見てくれてるのは正直ありがたいんだけど、なんか、辛いと思うところもあったりする。
一緒に行こうとまでは言ってくれなくていいからせめて声くらい掛けてくれればいいのに…。


「早く行かなきゃ」

何か…ちょっと凹む。厭な事があるとしばらく引き摺る癖、治さなきゃな。もうちょっと変わりたい。私。そう思うなら無理やり自分を立たせなくちゃ。解ってるのに、中々うまく気持ちの切り替えが出来ないや。
瞳の色が黒くて、底が見えなくて、何を考えてるかわからないって言われても…恐がられても、ありのままの私自身を見てもらえるように頑張らなきゃ駄目なんだ。恐い冷たい、言われなれてる。哀しいくらいに。生まれ持ったものだから仕方ないじゃないか。開き直るしかないんだ。昔は笑ってても、頭の中じゃ何考えてるのか解らないって恐がられる度、自分から距離を置いてたけど。それじゃあ駄目なんだよなー。

もう子供じゃないんだ。義務教育は終わった社会人の卵なんだと思おう。童心を忘れない大人なんて素敵じゃないか。そんな大人になろう。希望もあればまた不安も出てくる。すべてを包み込んでやるんだ。今私いいこと思ったわ。名言だね。

「少しでも、頑張れ」


解決じゃない、目標を
1%で変わる物