走る | ナノ
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・・・・・ 5・・

木曜日、本格的に荷物をまとめる(学校には行った)
金曜日、入試試験を受ける(結構出来た方だと思う)

木曜日と金曜日は本当に忙しくて(家族で出掛けたり)、でも充実していて、本当に、あっという間に過ぎて行った。

土曜日、いよいよ当日。お母さん達と別れて、新しいお家にお世話になる日だ。朝早く神奈川へ向かい、お昼前に幸村さんのお宅に到着した。大きくてきれいな家だった。私の家より広そうだ。出迎えてくれたのはお母さんの友達の、歩弓(ゆふみ)さん。微笑まれ 「なまえちゃん?」と声を掛けられたときは心臓が止まるかと思った。綺麗な人だった。とても、笑顔が綺麗な方。それに加えて優しそうだと思った。

「はい!きょ、今日からお世話になります!」

よろしくお願いしますと頭を下げる。「そんなに緊張しなくていいからね」 と笑ってくれた。それからお母さんとお父さんを見送って(あー、やっぱ寂しいなぁ)家の中に入った。

「これからここがなまえちゃんの家だから、自分の家みたいにね」

そう言われて、緊張はまだ解けないけど胸が軽くなった。案内された部屋はきちんと整頓されていてきれいだった。家具が少ないせいかとても広く感じた(私の部屋よりは大きい)

「悠(ゆう)と一緒に可愛くしたの。気に入ってくれるといいんだけど…」
「あ、ありがとうございます! すごく可愛いですっ!」

…悠? 悠? あれ、女の子じゃなかったの? 悠…って男の子、の名前っぽいけど。疲れたでしょ、と訊いてきた歩弓さんに遠慮がちに頷く。歩弓さんは笑いながら休んでてと言ってくれた。小さく頷くと、悠くん達がもうすぐ帰ってくるらしいので昼食の準備があると言って下に下りて行ってしまった。ベッドの縁に腰掛けて溜息を吐く。それから重い腰を上げて荷物の整理を始める。荷物が少ないこともあって、すぐに終わりやる事がなくなる。ふむ。どうしようか。そういえば、お昼の用意するって言ってたな…。
ハッとして慌てて階段を降りていく(ちなみに2階の一番奥の部屋を宛がわれた)

「あの、お手伝いさせてください!」


(これくらいしなくちゃ)
図々しい