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2017/02/06 00:31 ひたすら土方さんに頭を下げ謝罪の言葉を繰り返す。土方さんは気にしなくていいというがその顔に生気はない。沖田さんは何故か肩を震わせ、目じりには涙さえ浮かべていた。笑い堪えてんじゃねえと睨んでやりたいが沖田さんにも迷惑をかけてしまったし、ずっと背中を摩ってくれていたのも彼なので何もできなかった。 「まぁーま、土方さんも気にしてないって言ってるんですし、もう頭上げな」 所々声が上ずっている沖田さんは今にも腹を抱えて笑い出しそうだった。目じりに溜まった涙を沖田さんが拭っているのを見て泣きたいのはこっちだと思った。いや、一番泣きたいのは土方さんのはず。視線がかち合った瞬間ゲロぶちまかれるなんて私ならトラウマ決定だ。 「もう体調は大丈夫なんで?」 外の空気を吸おうということで定食屋を後にした私たちは近くの公園へとやってきた。沖田さんが水道からペットボトルに水を注ぎながら私に目をやる。外の空気に触れだいぶ落ち着いてきた。小さく頷けば沖田さんはそりゃよかったと私から自分の手元へと視線を戻す。 「ご迷惑をおかけして、本当にすみません」 もう一度深々と土方さんに頭を下げれば「気にしてねえよ」と言う土方さん。その声は風が吹けば飛ばされそうなほど小さい。 お互いに無言になり微妙な空気が流れ始めたところでジョボジョボという音。その正体が水の音だと気づいた途端辺りに本日二度目の土方さんの悲鳴が響き渡った。 「ちょっ、沖田さん!」 「何をすんだテメーは!!」 「何って…洗ってやってるんじゃないですか」 そういうやいなや沖田さんは逆さまにしたペットボトルを握る手に力を込め、中に残っていた水を勢いよく土方さんの足にかけた。汚れたまんまじゃいやでしょう、言っていることは正しい。洗ってやるってのも優しい。なんて上司思いな部下なんだ。だが目の前の沖田さんの顔は怪しげな笑みを浮かべていて嫌がらせをしているようにしか見えない。こうなったのも元はといえば私のせいだ、さらに申し訳なくなる。 「土方さん、すみません…!」 「あ?お前のせいじゃねぇだろ」 刀を抜いて沖田さんに向けていた土方さん。ちょ、ここで抜刀しないで怖いんですけど。沖田さんは飄々と土方さんの攻撃を交わしている。危ない。 「なんつー顔してんだ、」 こんなとこで泣くなよ、そう続けた土方さんは刀をしまう。それはこっちのセリフだ、こんなとこで刀振り回さないでほしい。 |