手抜き | ナノ
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幸村精市
2013/01/11 20:40


自分でも可愛くないと、溜息を吐いて呆れてしまいたい。生意気だなって我ながら思うのだけど、直そうと決めても直せないこの性格は習性不可能ということかそれとも修正する気なんて元々ないのだろうか、自分でもその辺はよく分からない。自分の性格なんてものは年齢の分付き合ってきてるのだから変えようと思って変えられるものでもないかもしれないけど。それは私だけじゃなくて目の前で楽しそうに笑うこの男にも言えるのかもしれない。いくら私が直して欲しいと悲願しても、それが現実しないのはこの男の性格は既に出来上がってしまっていて修正なんて出来ないからだ。
本当に嫌味な性格をしていると思う。嫌味というかもう性格が悪いの一言だ。ぎりりと睨み付けてやってもこの男はひるみやしない。本当に嫌味な奴。私が何をどうしたって何でもないというように笑っているこの男に対して膨れ上がる不満。イライラする、それはこの男に私が勝ることがないからとかではなく、この男に全て見透かされているようだから。私のことなんて全部解ってますみたいな顔をされるのが嫌、でも何も解らないような態度をとられるのも嫌。矛盾しすぎだろと自分でも思ったけど、その辺は目の前にいる幸村がちょうどいいくらいの態度を取ってくれればいいだけのことだ。

同じ委員の男子と委員会の帰りに喋っていたら突如現れた幸村が話に入ってきて、何故か私の性格だとか珍エピソードだとかを話初めて、私が幸村の言葉を制止した時にはすでに遅くてその男子は既に私にドン引きしていた。適当な理由を並べそそくさとその場を去る男子と共に私の淡い青春の風も一緒に去っていってしまった。そして残された私の傍には腹を抱えて笑う幸村の姿。
何故だ、何故なんだ。私はただ委員が同じ男子と談笑していて、楽しくやっていたというのにだ。
これってもしかしていい感じじゃね?なんて思っていただけだし、ちょっと仲良くなりたいなあなんて思ってただけなのに。どうして幸村なんかに邪魔されなくちゃいけないんだ。神様彼をどうにかしてください。

幸村は悪びれる様子もなく「あーあ」なんて口にしている。なにがあーあ、だよ。誰のせいだよ。彼をじとりと睨み付けるも痛くも痒くもないというように更に笑みが濃くなっただけに終わった。