黒曜石(たつき視点)
2013/01/02 23:23
たつき大好きなんですけど、何故か黒曜石の中では一番の悪役になってしまいました。
キャラを壊したくない方の閲覧はお控えください。
※ヒロインと織姫が喧嘩する回(自業自得の結果)のたつき視点バージョンとなっております。また手直しなどしていない状態の物(自業自得の結果)からの、続きになってますのでところどころ本編と繋がっていないところがあります、予めご了承ください。
この話を書いたのが3年以上前になりますので文章の構成なども今とは違うところがございます。とても未熟で自分でも何をどういう風に書きたかったのかが少し理解できませんでした。ほんとにダメダメなんですけど、それでも読みたいという方、覚悟のおありの方だけ追記からご覧ください!
判ってはいるつもりだった。
織姫が妹を大切にしているのは知ってた。
井上##name_1##が、織姫と双子関係にあって、妹であって、唯一残された肉親であると、知っていた。織姫と比べて、暗いあの子があたしは無性に気に入らなかった。織姫にも上辺だけで接しっていような、困ったような笑い方が嫌いだった。気に入らなかった。織姫に、何も返せないあの子が、比べても勝るものなんてないあの子が、迷惑だった。あの子の存在が鬱陶しかった。迷惑、という言い方はおかしいけれど、あたしをずっとイライラさせる原因はあの子であってあたしはあの子の存在が心底嫌いだったんだ。
それに今回のあの言葉。
織姫が居なければよかったって、あたしから…いいやあたし達からしたらあの子の方が居なければよかった存在だと思う。誰からも必要とされていないあの子なんかよりも、織姫の方がずっと価値があると思うから。
もしもあの子が織姫の妹として存在していなかったら、もしそうだったら誰もあの子を気にしなかっただろう。
カッとなって引っぱたいてしまった。先に手をあげるなんて、と思いはしたが出してしまったものは仕方ないと諦める自分がいた。おとなしく自分が引き下がったのは、きっとあたしが悪いことをしたとはあまり思えなかったからだろう。
織姫を傷つけておいて、自分が傷ついているような顔してて更にむかついた。
その上、庇ってもらえてよかったねと笑ったその顔が、声が、全て諦めてますと、全て悟っていると言いたげだったのが、余計に勘に障ってまだ何か言おうものならあたしの我慢はきっと限界を超えてしまうだろうと思った矢先、あの子がまた口を開いた。けれど何も発さずそのままその口はきつく結ばれてしまった。そんなこの子の行動も気に入らなくて今度はあたしがあんたに一言言ってやろうと口を開いたけれど、あの子の目に映っている自分が見えて口を噤んだ。あの子の目に映る自分と、あの子の目が映す世界が、全てを飲み込んでしまいそうで怖くなった。
思わず息を呑む。
どこまでも黒く澄んだその目に、汚れが浮き上がってきそうで怖くなる。自分の嫌な部分も何もかも全てを見透かしてしまいそうな、この子の目が嫌いだ。
鏡のように、全てを写し見せてしまうような黒があたしの中を支配していくみたいで、無意識にあの子の目から目をそらしていた。
鈴が、「嫌われ者」そう呟いた。その通りだ。お前は嫌われてるんだ。だけどこの子は知ってますとでも言うように平然と口を開くのだ。むかつく。
嫌われ者でいようとするあの子に。嫌われてますよって、自分を下げているあの子が。
あたしは、気づかない。あたし自身の気持ちが。嫌われていてほしいのか、だからあの子を認める存在にいらちてんのか。嫌われたまんまで、経とうとしないあの子にいらついてんのか。
何があたしのこの黒い気持ちの答えかなんて解らなかった。
あの子が教室を出て行く。
そうだ。あの子は織姫の影なのよ。
“庇ってもらえて…”当然のことだ。あんたが庇われないのは影で、織姫は光なのだから。織姫が好かれるなら、嫌われるのがあんたの役割。それを背負うのがあんたの役目なんだ。
なのに、一護は…一護たちはあの子の方を選んだ。
織姫じゃなくて、妹の方を。どうして、嫌われ者のあの子を?何故影であるあの子を…?
あたしは、あの子と織姫を個別には見てるけれど、切り離しては見れない。あたしの親友は織姫で、あの子じゃない。けどだからってあの子がまったくの無関係とは考えられなかった。どうしてもあの子の存在は出てきてしまうし、どう考えても彼女たちを切り離して考えることができなかった。どこかで繋がってしまう存在になってしまう。
一護の言葉をゆっくり頭の中に入れていく。は、あの子が苦しんでたって?どうしてよ?
騒ぎ出すクラスに浅野がキレる。浅野の言葉に織姫は何かを感じたようで、あたしが気づけないことに織姫が崎に気づく。
そして彼女はあたしに謝れと言う
そういえばあの子を傷つけたのは今回で2回目だったかもと、頭の隅で思い出した。
あたしはあの子が気に入らない、気に食わない。全てがあたしをいらつかせてくる。
織姫がクラスに啖呵を切り、そして落ち着いた様子で話しだした。
比べるからあの子が傷つくんだと。
その言葉の意味を分かるようで、分からない。だって双子だから比べられるのは当然のことじゃないのか。あたしは、井上##name_1##という人物を知らない。織姫のことしか知らない。
それでも比べる。それがなんだというんだろう。織姫の妹をそこまで知らなくても、織姫を知っていれば比べるには十分なのではないだろうか。
あの子の気持ちを代弁するように話す織姫の言葉は、あたしの中に織姫らしくないという感覚を残しながら奥底まで響いていった。
あの子を責める前に、あたし自身を責めるハメになるなんて。
ああ、平手痛かっただろうな。手加減はしていなかった。なんてぼんやり思った。何気なく、さっきまで熱を持っていた手のひらを見る。織姫を守るつもりであの子を傷付けたのに、織姫まで傷付ける結果になってしまうなんて。
握り締めた拳は後悔を纏うように熱を持つ。