火蓋は既に落とされた

西方軍、豊かな草木に聖十字と太陽の紋章を掲げ、高らかに秩序による自由と平和を謳う「正義」 身分のハッキリとした実力の在るものだけが所属を許された管理された軍。お国の為に戦う愛国者が最も多い。政府による管理の元規律がしっかりしている。

東方軍、刃と銃に逆さの十字、三日月を型どった紋章を掲げ、自由の解放と独立を謳う「悪」 身分不明ではあるが実力重視。単独行動を好む一見纏まりのない軍。政府を嫌うものが多く過激派とも言える。不明な点が多数存在。

「と、まぁこんなところかな。」

「おいおい、こんなの俺でも調べられるぜ。こんなことを知るために来たんじゃねーんだけど?」

真っ黒な衣装に身を包み、男は青年を側におく少女と何やら話し込んでいる。苛々としたように少女はとある写真を突き付けた。

「こいつの所在、知ってるんだろ?」

「これは…貴女も随分厄介な事に巻き込まれてるようだね。」

「わかってんならサッサと教えろ。」

男は少しだけ考え、一枚の紙を机に置いた。そこには写真の主の情報がびっしりと書かれている。だが、それは何年も前のものだった。

「私が教えられるのはここまでだよ。この人、案外危険な人物だからね。そう簡単には手が出せないんだ。」

「アンタでも、か?」

「私でも。まぁ、新しい情報が入れば提供するよ。それじゃあまた、ご贔屓に。」

男は黒のコートをはためかせ、青年と少女のいる部屋を後にした。今、この国の現状は最悪といってもいい。見た目は整備された平和のようだが、水面下で蔓延った余り者が今か今かと暴れだす機会を狙っている。

「退屈しのぎには丁度いい。」

嬉しげに男は呟いた。これから始まるであろう事に胸踊らずにはいられない。大事な駒を揃えるために、男は一人ほくそ笑んだ。





(楽しみなのはこれからだ。)


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