詩?
「世界って、すごく広いんですね」
「いきなり、なにを言い出すんだか」
「ほんとにいきなりだよね」
「帝都もすごく広いと思いましたけど、外はもっと広いじゃないですか。
あの空なんて、どこまで続いてるんでしょう」
「ま、その気持ちも、わからんではないか」
「・・・」
「ユイ?」
「青々と澄み渡る空を見るたびに思う。人間とはなんて小さな生き物なのだろう、と。
このどこまでも続く空は、神さえもちっぽけだと感じさせる。
そんな全てを小さく感じさせる空は、もしかしたら人間の心そのものかもしれない。
人間の心は広い。だが、その心も時には曇り、雨が降るときもある。
これは空と同じなのではないか?
心に悩み、迷いができた時に晴れ渡った空を見上げれば気持ちが変わるかもしれない。
空が泣いている時には誰かの心が悲鳴をあげているかもしれない。
空は、人と人を繋ぐ一つの心なのだろう・・・」
「「・・・」」
「・・・」
「す、すごいです、ユイ!」
「へ?」
「空を見ただけで・・・!と、とにかくすごいです!ユイは詩を書けますよ!」
「や、無理でしょ」
「どうしてです!?」
「今の詩らしきものを、世間一般では中二病と言うからね」
「?」
「・・・知らないなら、知らないほうがいいよ。
ほら、さっさと行こう!」
「あ、待ってください!」
「・・・意外とすげぇよな、あいつ」
「ク〜ン」
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